光が胸を射す前に
夜明けの光は優しいが 朝の光は眩しすぎて目を開けていられない
光が胸を射す前に 棺に戻ろうか
と思ったときには 既に遅く
夜のしじまは消え失せた
冬の国の歌
炎よりも水の方が好きだ
有機物の熱を静かに奪う
人のハートから温かさを奪い凍りつかせ動けなくする魔法の呪文が好きだ
皆のハートの流れをコチコチに固まらせていく意地悪な北風さんの側で
凍り付いて同じ方角しか見ることのできなくなったハートをそっと撫ぜるのが好きだ
そこにはまだ人間の温かみが残っている
これが消えたら私と同じ冬の国の住人になるのだろう
退屈な時には寒がっている人に防寒を教え時々北風さんをおちょくるのは楽しい
北風さんはいつ誰に凍らされたの?
私はもう凍らされた時の辛さを憶えてすらいないほど遥か昔
冬はもうすぐやってくる