2011-07-24

無職のぼくの勤労行為

当時、ぼくは仕事らしいことをなにひとつしていなかった。

勤労ということからは、かけ離れた生活を送っていたのである

来る日も来る日も無為の生活を送っていると、

「ああ、働きたい、額に汗したい」

という勤労意欲が湧き上がってくるものなのである

まして、血気盛んな青年である

毎日の、入浴や爪のアカほじりでは、どうしても欲求不満になってくる。

例えば道路標識などを、額に汗して引きぬき、今度はそれを肩にかついで、息をきらして

下宿まで運搬する。

やっとこさ下宿の玄関までたどりつき、狭い下宿廊下を、あちこちぶつかりながら運び

あげ部屋に安置し、吹き出す汗をぬぐうと、

(なにごとかを、なし遂げた!)

という満足感が得られるのである

勤労の喜びにひたることができる、ということになるのである

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