今日の日経の1面は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)についての記事でした。
それによると、2009年の赤字幅は過去最悪になるとのこと。2010年度も、赤字額は縮小するものの、財政健全化への道筋は遠いそうです。
しかし、同じ記事によると、平成元年の時点ではプライマリーバランスは黒字だったようです。
「じゃあ黒字だったころに比べて、どの部門で歳出額が増えてんの?」と疑問に思ったので、
財務省のデータから、平成元年と平成21年の国の予算額を引っ張ってきて、簡単に表にしてみました。
ちなみにもとになったデータは
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/zaiseitoukei/ichiran.htmにある
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/zaiseitoukei/18b.xlsから拾ってきたものです。
増加額が多かったものをまとめたデータが以下です。
主要経費別 | 平成元年予算 | 平成21年予算 | 差引 |
---|---|---|---|
社会保険費 | 6,641,224,646 | 19,600,357,623 | 12,959,132,977 |
国債費 | 11,664,867,411 | 20,243,730,520 | 8,578,863,109 |
地方交付税交付金 | 13,368,840,000 | 16,111,283,000 | 2,742,443,000 |
住宅対策費 | 764,372,000 | 2,416,487,000 | 1,652,115,000 |
教育振興助成費 | 614,440,703 | 2,019,714,419 | 1,405,273,716 |
その他の事項経費 | 4,058,054,280 | 5,064,181,534 | 1,006,127,254 |
経済緊急対応予備費 | 0 | 1,000,000,000 | 1,000,000,000 |
生活保護費 | 1,141,577,152 | 2,096,888,342 | 955,311,190 |
科学技術振興費 | 448,032,637 | 1,377,657,919 | 929,625,282 |
防衛関係費 | 3,919,834,295 | 4,774,135,024 | 854,300,729 |
地方特例交付金 | 462,011,000 | 462,011,000 |
こうやってまとめてみるとみると、やっぱり圧倒的なのが社会保障費。ここの支出額をなんとかしないと、財政の健全化は難しそうです。でもたぶん削れないんだろうなー。
また、社会保障関連では、生活保護費もかなり増加しています。増加割合でみると、一番深刻かもしれません。
地方交付税も、特例交付金と合わせるとかなりの金額に。
意外と金額が多かったのが、住宅対策費、教育振興助成費、科学技術振興費。どれも平成元年の3倍以上に予算が膨れ上がっています。
防衛費が増えていたことも意外です。これは全く知らなかった。
ちなみに全ての歳出項目は↓になります。
主要経費別 | 平成元年予算 | 平成21年予算 | 差引 |
---|---|---|---|
社会保障関係費 | |||
1. 生活保護費 | 1,141,577,152 | 2,096,888,342 | 955,311,190 |
2. 社会福祉費 | 2,230,878,799 | 2,509,114,629 | 278,235,830 |
3. 社会保険費 | 6,641,224,646 | 19,600,357,623 | 12,959,132,977 |
4. 保健衛生対策費 | 526,888,222 | 434,619,167 | △92,269,055 |
5. 失業対策費 | 354,083,938 | 193,419,078 | △160,664,860 |
計 | 10,894,652,757 | 24,834,398,839 | 13,939,746,082 |
文教及び科学振興費 | |||
1. 義務教育費国庫負担金 | 2,387,676,000 | 1,648,250,000 | △739,426,000 |
2. 国立学校特別会計へ繰入 | 1,140,799,082 | △1,140,799,082 | |
3. 科学技術振興費 | 448,032,637 | 1,377,657,919 | 929,625,282 |
4. 文教施設費 | 263,152,472 | 115,564,750 | △147,587,722 |
5. 教育振興助成費 | 614,440,703 | 2,019,714,419 | 1,405,273,716 |
6. 育英事業費 | 82,955,928 | 149,180,810 | 66,224,882 |
計 | 4,937,056,822 | 5,310,367,898 | 373,311,076 |
国債費 | 11,664,867,411 | 20,243,730,520 | 8,578,863,109 |
恩給関係費 | |||
1. 文官等恩給費 | 111,788,105 | 26,960,474 | △84,827,631 |
2. 旧軍人遺族等恩給費 | 1,588,519,123 | 718,114,125 | △870,404,998 |
3. 恩給支給事務費 | 8,029,836 | 2,745,535 | △5,284,301 |
4. 遺族及び留守家族等援護費 | 147,413,546 | 39,395,997 | △108,017,549 |
計 | 1,855,750,610 | 787,216,131 | △1,068,534,479 |
地方交付税交付金 | 13,368,840,000 | 16,111,283,000 | 2,742,443,000 |
地方特例交付金 | 462,011,000 | 462,011,000 | |
防衛関係費 | 3,919,834,295 | 4,774,135,024 | 854,300,729 |
公共事業関係費 | |||
1. 治山治水対策事業費 | 1,080,198,000 | 928,340,000 | △151,858,000 |
2. 道路整備事業費 | 1,781,940,000 | 1,222,095,000 | △559,845,000 |
3. 港湾漁港空港整備事業費 | 511,336,000 | 474,396,000 | △36,940,000 |
4. 住宅対策費 | 764,372,000 | 2,416,487,000 | 1,652,115,000 |
5. 下水道環境衛生等施設整備費 | 954,812,000 | 879,799,000 | △75,013,000 |
6. 農業基盤整備費 | 867,310,000 | 577,220,000 | △290,090,000 |
7. 林道工業用水等事業費 | 160,148,000 | 281,595,000 | 121,447,000 |
8. 調整費等 | 10,575,000 | 217,458,000 | 206,883,000 |
小 計 | 6,130,691,000 | 6,997,390,000 | 866,699,000 |
9. 災害復旧等事業費 | 66,721,000 | 72,699,000 | 5,978,000 |
計 | 6,197,412,000 | 7,070,089,000 | 872,677,000 |
経済協力費 | 727,758,461 | 629,544,571 | △98,213,890 |
中小企業対策費 | 194,249,440 | 188,950,621 | △5,298,819 |
エネルギー対策費 | 527,492,869 | 856,171,069 | 328,678,200 |
食糧管理費 | 418,225,146 | 865,922,114 | 447,696,968 |
産業投資特別会計へ繰入 | 1,300,000,000 | 0 | △1,300,000,000 |
その他の事項経費 | 4,058,054,280 | 5,064,181,534 | 1,006,127,254 |
経済緊急対応予備費 | 0 | 1,000,000,000 | 1,000,000,000 |
予備費 | 350,000,000 | 350,000,000 | 0 |
0 | |||
合 計 | 60,414,194,091 | 88,548,001,321 | 28,133,807,230 |
あと、他の資料もちょっと見てみると、国の一般会計の歳出予算使途別分類の中で、公務員の給与がどんどん上がっていってるのが見てとれて、
新卒でブラック企業に入ってしまった僕はもやもやとした思いが胸一杯に広がりました。(平成元年は28兆だったのが、平成20年には34兆まで増加)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/zaiseitoukei/27.xls
公務員の人数はむしろ減ってて、 (平成元年:約320万人 → 平成17年:304万人)平均年齢もそんなに変わってないのに。 (平成元年:40歳 → 平成20年:41.6歳)
他の所から引っ張ってきた民間の給与と増加率を比較してみると、こんな感じ。ちくしょー!!!
平成元年 | 平成20年 | 増加率 | |
---|---|---|---|
民間平均給与(年額) | 402万円 | 430万円 | 6.9% |
民間平均給与・男子(年額) | 493万円 | 533万円 | 7.9% |
民間平均給与・女子(年額) | 236万円 | 271万円 | 14.8% |
公務員平均(月額) | 288,758円 | 403,984円 | 39.9% |
追記:
民間の平均給与については、男女ともに非正規雇用の割合が増加している影響を受けているのではないか、との指摘がありました。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3250.html
↑をみると、確かにかなり増加しています。
公務員と民間給与の増加率の差は、公務員は正職員のみの統計で、非常勤職員(所謂官製ワーキングプア)は除外されているのに対し
民間は非常勤職員(学生アルバイトや主婦パートも)全て含めた統計となっていることで説明できそうです。
参考url
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/zaiseitoukei/18b.xls
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/zaiseitoukei/27.xls
http://www.gyoukaku.go.jp/senmon/dai1/sankou6.pdf
http://ssl.jinji.go.jp/hakusho/h01/jine199001_2_034.html
http://ssl.jinji.go.jp/hakusho/h20/080.html
http://komu-in.seesaa.net/article/24811399.html
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2009/kyuyo_jittai/index.htm
公務員と民間の比較の所だけ突っ込んでおくと、 公務員は正職員のみの統計で、非常勤職員(所謂官製ワーキングプア)は除外されているのに対し 民間は非常勤職員(学生アルバイトや...