2009-09-30

視野の広い研究者技術者になるために -専攻ロンダリングをしよう-

この文章は、現在大学の学部生や修士課程学生にぜひ読んでもらいたい文章だ。

まず、私自身の経歴を紹介しておきたい。

地方国立大電子工学卒業後、大学院大学に進学し化学研究室に進学。その後、機械メーカーFA部門に配属され、制御回路の開発を行っている。

日本研究者はとかく、視野が狭いといわれる。

これは海外と比べた場合の教育の違いに問題を見出すことができるだろう。

まず、日本には副専攻などのシステムを具体的に用意している大学がほとんどない。

アメリカに目を向けると、カリキュラムとして主専攻と副専攻両方が取れる場合になっているのが珍しくない。

また大学院ではほとんど講義がない日本とは違い、電子工学の専攻でも建築単位を取ることになっていたり、化学単位をとることができるようになっている。

このような教育上の差が、日本博士視野が狭いといわれる要因でありオーバードクター問題の原因の一つではないかと思っている。

新しいイノベーションを起こす研究開発では、分野複合的なテーマになることが少なくない。

たとえばエンジンの開発において以前は機械工学出身者で十分開発が行えたが、燃費重要になる昨今では燃焼そのものが化学変化であることから化学出身者を積極的に採用している。

また、マイクロメートル単位での精密さが要求される分野では誘電材料が用いられるが、分極や誘電率を理解しようとすれば、化学の知識が必要になってくる。

日本発展途上国のときは先進国に追いつくため、分野を分断し「I」型のエンジニアを育てていれば良かったがそれはもはや中国仕事であると思う。

「T」型の知識を求める人間が必要であるのに日本高等教育がそれに対応していないのだ。

開発に関わる私には、人事が「どうせ、企業で行う研究大学研究とは違うのだから、博士などよりも若い人間のほうが使いまわしが効いて良い」というのには、痛いほど理解ができる。

どうせ会社に入って大学研究とは直結しない部署に振り割けるならば、頭が柔らかく若い人間のほうがいいのだ。当然である。

この点では海外ではさらに進んでおり、博士号を二つ取得するダブルメジャー流行っている。

もはや、「I」や「T」を超えて、「π」型の研究者技術者を生み出そうとしているのが海外の現状だろう。

だが、日本では副専攻やダブルメジャー制度はほとんどない。

その中で、私が提案したいのは修士課程博士課程への進学時にまったく専攻が違う分野に変えてしまうことである。

私は、この道を選んだ。

私が修士課程で進学したのは大学院大学であり下に学部がなかったため、TARAなどの学部生の講義の手伝いをする必要がなく自分勉強に専念できた。また、化学や材料工学出身以外の人向けの基礎的な講義があり、それを受講することで基礎から勉強できる環境が整っていたのである。

分野横断的な学習で得たものは多い。

学部時代には、半導体バンド理論いまいちしっくり来なかった。エネルギーがとびとびな値をとることにどうしてもイメージがつかなかったのだ。しかし、これも分子一個がエネルギーを受けて励起するという量子力学量子化学の基本さえ知れば、シリコンであってもそれが結晶状態でつながっているに過ぎないと簡単に気づく。分野の違いなどは所詮人間勝手に分けた物に過ぎないのだ。

また、多くの分野を学んだことは会社に入っても役に立っている。何か問題がおきたときに他の人にわからないことがわかるのだ。

つまり仕事が早く終わり、なおかつ他の人が思いつかない新規の提案も用意に行えるのである。

製品改善の方法は一つではなく、材料の見直し、ソフトウェア改善ハードウェア(回路や機械設計)の見直しなど多々あるが、これらを全体を通して考えることができるのである。

私は今では本当にそのまま自分大学院に進学しなくて本当に良かったと思っている。

  • http://anond.hatelabo.jp/20090930032629

    内容はいいんだけど、「専攻ロンダリング」っていうよりは「マルチ専攻のすすめ」なんじゃないかな、と思った。

  • http://anond.hatelabo.jp/20090930032629

    一回全然関係ない分野(文系職とか)で働いてみるというのもオススメしたい。 驚くべきことに自然科学を見る目が変わってより深く理解できるようになったりするんだなこれが。 まぁ...

  • http://anond.hatelabo.jp/20090930032629

    ほぼ同意。 情報工学出だが、今は機械工学やってる。

  • http://anond.hatelabo.jp/20090930032629

    メーカーに入って、営業にまわされたってのは珍しくないよ。 俺がその口。

  • http://anond.hatelabo.jp/20090930032629

    それやって就職活動で思った以上に時間がつぶれて両方中途半端になりそうな自分。

    • http://anond.hatelabo.jp/20090930091802

      広い視点をもってます。ってアピールで修士の研究の結果出てなくても意外といける。 ただエントリーシートで切られないように学校推薦な。

  • http://anond.hatelabo.jp/20090930032629

    日本はT型とかI型とか いう以前に.型。大学の専攻が専攻になってない。 音楽がよい例で、小学生から音楽の勉強をしているとか当たり前。そこから20年近く経験を積んでという世界。 ...

    • http://anond.hatelabo.jp/20090930122715

      日本はT型とかI型とか いう以前に.型。大学の専攻が専攻になってない。 音楽がよい例で、小学生から音楽の勉強をしているとか当たり前。そこから20年近く経験を積んでという世界...

    • http://anond.hatelabo.jp/20091002003641

      http://anond.hatelabo.jp/20090930122715 いわんとしてることはわからないでもないけど、俺から見れば、一つのことを卒業したやつは他の事をやらせても巧いし、一つの事に拘って卒業できないや...

  • http://anond.hatelabo.jp/20090930032629

    機械ばっかやってきたけどそろそ専門変えようかな

  • 大学院は自大学に進学しにくくし、学歴ロンダリングはむしろ賞賛されるべきだ。

    http://anond.hatelabo.jp/20090930032629 のエントリーより。 だが、日本では副専攻やダブルメジャーの制度はほとんどない。 その中で、私が提案したいのは修士課程や博士課程への進学時に...

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    • http://anond.hatelabo.jp/20091001221609

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    • http://anond.hatelabo.jp/20091001230356

      それどころか、ダブルメジャーなんてやった日には「歳食ってる」とか「なんか慣例と違う」とかいう理由で敬遠されたりする始末だからな…。マジ終わってる。

      • http://anond.hatelabo.jp/20091001231025

        企業にいかずに、そのまま大学に残るならばありかとは思う。 もしくは、このトピックの増田みたいに進学時に専門を変えるというのが現実的なんだろ。 同じ研究室に、学部、修士、博...

        • http://anond.hatelabo.jp/20091001231347

          つっても今後アカデミックのみを研究者のキャリアパスと考えるのはますます非現実的な話になってくと思うけどねえ…。 まぁグチグチ言っても慣習は変わらないし、文句があるんだっ...

    • http://anond.hatelabo.jp/20091001230356

      ぶっちゃけこういうのは軍関係。 あまり日本で真似する必要もないと思うね。 もっと堅実に実用に向けた体制組んだ方がマシ。

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