2008-10-16

http://anond.hatelabo.jp/20081016005857

精神的に弱い」かどうかは、必ずしも人で決まるものではなくて、同じ人の中でも移り変わる。

彼とは大学サークル出会い、特別に仲良くなるというわけでもなく普通に友達になった。

自分には、ここまでは同じ友人がいた。彼は、とても優秀な人だった。自分も彼も工学部だったのだが、彼は大学1年の時から、何を研究したいか具体的に決めていた。サークル仕事も精力的にこなしていた。工学部人間は多くが4年の夏に大学院入試を受けるが、彼は学科トップクラスの成績を取って大学院合格した。私は彼とは全く違う分野だったが、傍目からみても、彼は将来その分野を担う人材になるはずだった。

自分も大学1年の時から何を研究したいかは決まっていて、それは揺るがなかったのだが、勉強しなかった。直接関係のない基礎科目は勉強する気にならなかったが、いざ自分のやりたい分野の専門書を先取りして読んでも、基礎力がないので理解できなかった。試験直前に振られたりしたこともあって、4年の必修科目を一つ落としてしまい、留年してしまった。希望研究室は割と人気がない研究室だったので大丈夫だろうと思っていたら、その年はたまたま外部の優秀な志望者が多く、自分はあぶれてしまい合格できなかった。

大学5年生になると、かなり焦った。とにかく、何が何でも、卒業して希望研究室合格したかった。他人から見ると十分に努力していたとはいえないかもしれないが、それでも、結果としては、ちゃんと卒業論文書いて卒業して希望研究室にも合格できた。

大学院1年の春、少し周りを見回す余裕が出てきた。サークル時代の仲間はみんな一年前に就職・進学して、数ヶ月に一回、時間が合ったときに同期で内輪の集まりを開いて、そこで会うぐらいになっていた。ところが、よく考えてみると、この一年ほど彼は顔を出していない。就職で地方に配属になった同期も多かったので、みんなそこまで気にしていなかった。

大学院2年の彼はどうしているか・・・彼が書いていたブログを見てみた。端的に言って、悲惨だった。彼は大学院1年の時に、うつ病になってしまい、ほとんど研究できず、自信が持てず、自殺願望にしばしば苛まれているとのことだった。結局、その年は地元に戻って休学しているらしいことが、ブログを1ページずつ丁寧に読んで分かってきた。サークルの他のメンバーも、詳しく知らなかったらしい。彼は、数ヶ月に一回しかブログ更新しなかった上、彼のブログも全員が知っていたわけではないので、よく読んでいる人がいなかったのだ。自分も、サークルの他の友達と会った時に、彼のブログを見せながら簡単に状況を説明したけれど、もう、誰も何も言えなかった。よく考えると、一年前、飲み会で、彼は「卒論が上手くいかない」とこぼしていたっけ・・・・

自分にとっては、結構ショックだった。学業仕事も、単純に頭の良い人・才能のある人が良い成果を出せるものだと思っていた。けれど、彼を見ていて、必ずしも、そうではないことがわかった。チャンスがある人がチャンスのあるうちに、臆せずチャレンジしないとつかめないものなのだ。チャンスのある人は、チャレンジしないといけないのだ。彼は、チャンスを「うつ病」によって奪われた。自分は、自分の能力不足のせいで留年し一回はチャンスを失ったかのように思えたが、結果オーライだった。あれから、1年半。彼のブログによれば、結局、彼は大学院をやめてしまったらしい。その後、どうしているかは、よくわからない。サークルで集まることがあっても、あまり話題に上らなくなってしまった。冷たいと思うが、自分で話題にするにしても、どう切り出してよいか分からない。サークルの他のメンバーも、たぶん同じなのだろう。それに、みんな、まだまだ働き始めたばかり。自分のことで話したいこともたくさんあるし、話題も自然にそちらに移ってしまう。

ただ、確かに言えることは、彼の存在は、自分の進路決定に影響を与えているということだ。

記事への反応 -
  • 今年の春に、ぼくの友達は死んだ。まだ若かった。彼とは大学のサークルで出会い、特別に仲良くなるというわけでもなく普通に友達になった。ぼくは大学を卒業して就職し、彼は大学を...

    • 「精神的に弱い」かどうかは、必ずしも人で決まるものではなくて、同じ人の中でも移り変わる。 彼とは大学のサークルで出会い、特別に仲良くなるというわけでもなく普通に友達に...

      • 自分も彼も工学部だったのだが、彼は大学1年の時から、何を研究したいか具体的に決めていた。サークルの仕事も精力的にこなしていた。工学部の人間は多くが4年の夏に大学院入試...

        • まず基礎教養のない一年生が具体的に決められるような研究内容というのはよっぽどわかりやすいものなので,研究としてはそんなに…という場合が多い(そうとも限らない場合も化学...

    • 泣けた。 俺も友達をなくして、すごくつらい時期があったけど、なんとか思い出になりつつある。 でも、おれも友達のために生きてるよ。俺はここにいるよ。

      • 増田の気楽さに死んでる俺は、生きたくなくなるね。何そのめちゃくちゃな言い訳。 俺が死んだのは、お前のためじゃないつぅの。勝手に想い出にしないでよ。 死んでも報われないとは...

    • おい、元気ですか。あなたが逝って1年が経ちました。こちらは変わりありません。あなたのご家族がお元気かどうか知るすべがないのが少し気がかりです。こちらは変わりありません。 ...

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