2008-10-17

http://anond.hatelabo.jp/20081016014830

自分も彼も工学部だったのだが、彼は大学1年の時から、何を研究したいか具体的に決めていた。サークル仕事も精力的にこなしていた。工学部人間は多くが4年の夏に大学院入試を受けるが、彼は学科トップクラスの成績を取って大学院合格した。私は彼とは全く違う分野だったが、傍目からみても、彼は将来その分野を担う人材になるはずだった。

まず基礎教養のない一年生が具体的に決められるような研究内容というのはよっぽどわかりやすいものなので,研究してはそんなに…という場合が多い(そうとも限らない場合も化学系の場合はあるが,物理情報系だとまぁほとんどない)。また学科の成績と研究はある程度関係がある場合もあるが,多くの場合適性に関してはそれほど関係がない。さすがに基礎知識がなければきついものはあるが,しかし研究する内容を深く突っ込んでいけばたとえ学部時代の教養が足りなかったとしてもそのうち身についてくる。テストの点数を取る技術研究する能力とは別物だ。

よく考えると、一年前、飲み会で、彼は「卒論が上手くいかない」とこぼしていたっけ・・・・

卒論がうまくいかないのは,あくまでも卒論という範囲内でいえば,指導教官なり指導をしている学生なりに問題がある。卒論生に研究を一人でやらせるような研究室があったとしたらそれは研究室に問題がある。彼が周りの人にきちんと相談できなかったとしたら彼にも問題があるが,しかしそういう人間性の未熟さも含めて面倒を見れない周囲に問題がある。修士研究の練習だ。卒論はさらにその前,手とり足とりやり方を教えてもらいながら形にしていくという訓練だ。その訓練がきちんとできないのは,訓練をしている方ではなく,指導している方に問題があるからだ。

自分にとっては、結構ショックだった。学業仕事も、単純に頭の良い人・才能のある人が良い成果を出せるものだと思っていた。けれど、彼を見ていて、必ずしも、そうではないことがわかった。チャンスがある人がチャンスのあるうちに、臆せずチャレンジしないとつかめないものなのだ。チャンスのある人は、チャレンジしないといけないのだ。彼は、チャンスを「うつ病」によって奪われた。自分は、自分の能力不足のせいで留年し一回はチャンスを失ったかのように思えたが、結果オーライだった。

彼はチャレンジして,その結果鬱病になったのだ。しかし大学院生鬱病になるなどよくあることである。学部制が留年する以上によくあることである。少し立ち止まったにすぎないし,もう一度歩きだせさえすればあるいは自分の求めるレベルを落としてでもいいから歩き続ければよかったのだろうが,彼にはそれができなかったのだろう。それは彼の弱さだし,そこで周りにSOSをだして助けてもらえなかった(鬱の時はそれもしんどいとは思うが)のは彼とその周囲の関係があまりうまくいってなかったということに他ならない。それに関しては誰が悪いわけでもないのだが,彼がドロップアウトしていく中で見ないふりをした研究室の人たち,サークル仲間に愚痴をはけなかった彼,そういう歯車のかけている部分が彼をどこかへ押しやってしまったのだろうと思われる。だが,それもよくあることだ。一年や二年立ち止まっていても別に人生においては大したことではない。あなたが留年のあとに希望通りの進路に進めたように彼もいつかひょっこり戻ってきて何事もなかったように無理をしない人生を送り始めるだろうと思う。少なくとも彼はチャレンジをした人なのだから。

研究においてのみいえば,成功するかどうかはチャレンジするかどうかではなく向いているかどうかだけである。研究世界というのは特集である一方向にだけわき目もふらずに道を踏み固めて突き進んでいく力さえあればどうにかなる。あとは多少の鈍感さが必要だ。研究対象に対しては非常に敏感に感受性を持つ必要があるが,それ以外のことに関してはとことん鈍感である方が生き残りやすい。生き残るか,生き残れないか。そういう世界においてチャレンジするかどうかは関係ない。チャレンジしなければ何も進まないからだ。誰もがチャレンジして,その中で向いていない人がドロップアウトしていく。自分の限界を見極められずできると思ってチャレンジし続ける方が病気になる可能性はむしろ高い。鬱だけでなく胃潰瘍過労死もよくある世界である。自分の体にすらも鈍感になれば成果は出しやすいだろう。そうでない人も多くいるはいるが,感情の機微に対して敏感な人は向いていないので修士あたりで引き返しておくことをお勧めする。

記事への反応 -
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    • 泣けた。 俺も友達をなくして、すごくつらい時期があったけど、なんとか思い出になりつつある。 でも、おれも友達のために生きてるよ。俺はここにいるよ。

      • 増田の気楽さに死んでる俺は、生きたくなくなるね。何そのめちゃくちゃな言い訳。 俺が死んだのは、お前のためじゃないつぅの。勝手に想い出にしないでよ。 死んでも報われないとは...

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