2008-10-09

文学部出身者と物理学のことば

ノーベル賞ニュースの直後からネット物理学キーワードを読んでたんだけど、気づいたことが一つある。

内容の意味が本当にわからない。

今まで、自分はそこそこ頭が良い、書かれた文章で理解できないなんてことはない、みたいにうぬぼれてたんだけど、そんなことはないんだと実感した。他の理系分野はけっこう理解できるのに物理学だけはウィキペを読んでても本当に一言も理解できない。これから先もわかるようになるなんてことはないと達観させられるような意味不明さだ。これはちょっとした絶望だけど、ちょっとした安心でもある。人生の不可能性を知ることは可能性に想いをはせるよりも大事なことだ。まぁ、これは逃げ口上だけどな。

しかし、物理学の用語はなにを見てもおもしろいものばかりだ。語感がいい。「ケマル・パシャ」やら「世界5分前仮説」やら「童子切り安綱」みたいな言葉を呟くだけで快感にひたれる文学部出身者にはたまらない世界。たとえば「ゼーマン効果」「マクスウェルの悪魔」「クォーク」「不可逆性問題」「量子色力学」「チャンドラセカール限界」「ドリフト電流」「ローレンツ力」・・・とにかくいい。書いていくときりがないくらい魅力的な言葉だらけだ。

文学部を無断で代表して言わせてもらう、こういうの大好きだ。なんでこのフレーズの後にこの言葉がくるの?というサプライズ感がたまらない。口に出すだけで気持ちよくなる。だから許してほしいんだ、エントロピー日常会話で使ってみたり、生きる辛さを重力に喩えてみたりする無礼を。翻訳がいいんだろうか、よくわからないけど、とにかくあこがれるフレーズには違いない。なにも知らない文系は羨望の気持ちでもって物理学言葉を盗用する。たぶんこれからも。

もうそろそろ誰も見なくなったと思うので自分の弱小ブログに貼り付けておきました。

ソーカル事件?あれもワクワクしたけど種類が違う気がする。

  • 物理学おもしろ言葉の中に「くりこみ理論」も加えてほしーなー 内容はちっとも理解できないけどこの言葉大好き

  • だから許してほしいんだ、エントロピーを日常会話で使ってみたり、生きる辛さを重力に喩えてみたりする無礼を。翻訳がいいんだろうか、よくわからないけど、とにかくあこがれるフ...

  • 生きる辛さを重力に喩えてみたりする無礼を 理系的発想からすると、生きる辛さを例えるのに重力はイメージしないな。 外部ポテンシャルが高すぎてローカルミニマムから抜け出せね...

  • 自発的対称性の破れ(じはつてきたいしょうせいのやぶれ、spontaneous symmetry breaking)とは、場の基底状態に作用またはハミルトニアンを不変に保つような対称性があり、そのうち自然が無...

  • 俺は今大学で物理やってるけど、ノーベル賞の話は俺もよくわからん。近代物理は数学でできてるから、感覚で理解しにくいことが多いんだよね。特に量子力学はほぼ数学のみでできてる...

    • 量子力学はまだかなりイメージが通じる世界だと思うぞ。 状態ベクトルさえイメージできれば非相対論的場の量子論くらいまではいける。 ただゲージ場とかの話になるとね…俺には数学...

    • 「実に面白い」

    • すげぇ流行おくれだけど、上のエントリ書いた増田です。 ノーベル賞とった小林・益川理論で、クオークが三つじゃなくて六つでなくてはならない根拠は、当該部分の数学やってない俺...

    • つhttp://anond.hatelabo.jp/20081010101432 相手がどう受け取るかわからないなら自分の理解してる語彙だけで言わなきゃこういうことになるってことね。

  • 別に物理の用語理解してなくてもいいんだが、ちょっとびっくりした。 今まで、自分はそこそこ頭が良い、書かれた文章で理解できないなんてことはない、みたいにうぬぼれてたんだけ...

  • 大丈夫,工学部出身者の9割くらいもわかってない。

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