2006-12-27

科学が『ニセ科学』を糾弾できない本当の理由

巷で蔓延するニセ科学批判。多くの人間の共感を呼んでいるが、実は問題はそう簡単なことではない。


確かに、追試により証左を求めることが出来ない科学は全て『ニセ科学』だ!

と、定義できればこれほど簡単なことはない。

実際、そのような定義が正しいとは思う。


しかし、科学者自身がニセ科学を批判するには人類が築き上げてきた科学脆弱すぎる

科学ニセ科学を糾弾できない真の理由はを知るには『進化論』問題を見れば解るだろう。


なぜ進化論ニセ科学かは、具体的に事例を出してゆ行けば自ずと結論がでるのだが、これは実に根が深い問題である


進化論ニセ科学的側面
現在科学では動物の種の壁を越える手段を持ちえていない

人と猿は近い種と考えられているが子供を作ることは出来ない。そこには明確な断絶があり、どのような手段で『進化』がこの壁を乗り越えることが出来たかは今だ明確な説明できない


猪から豚が、狼から多種多様な犬が生まれたからといって、進化はあると言うのは紛れも無いニセ科学的な論法である。事、人間に関してはミッシングリンクなどと言う名称までつけて事の解決を図ろうとしているが、これは現在は実証しようがないと認めているに等しい行為である。


豊富な状況証拠から導き出される陳腐な結論

進化論をやっかいなニセ科学にしている理由に多種多様化石存在がある。

時代ごとに明確に異なる形の生物存在したのは事実である。

そして、始祖鳥を筆頭に恐竜から鳥が、魚から両生類が、両生類から爬虫類が…と言うように進化したと言われている。しかし、これを証明できるほど遺伝子工学は進歩していないし、結論は別のものであると考えたほうが遥かに健全であろう。今の段階でこの希望的観測を学校の授業に取り入れるのは間違いである

クローン猫の事例を出せば納得してもらえるだろうか。

恐らく多くの人間遺伝子が同一なクローンオリジナルに極めて近い性質であると考えたであろう

私もそう予測した。

しかし、実際は違った。模様から性格に至るまでそれは明確に別の固体のように振る舞い、一卵性双生児のように極めて近い存在とはならなかった。しかし、同じ遺伝子であることに間違いは無い。細胞寿命に関する機能が原因ではないかとも言われているが、多くの遺伝学者、識者が予想もしなかった結論がでた。

つまり、当時のクローン技術で予測された結果は正しくはなかったと言うことだ

科学とは証左できない存在を排除するプロセスを経て初めて機能する具体的事例をここに出した


しかし進化論では、状況証拠から結論を予測するしか出来ない。これは間違いを必然的に孕む手法であり、何より間違いを正す手段が無い。

更に言えば、進化論を形作る多数の証拠には扱いに困る物も多い。

例えば、中国政府北京原人は実在すると主張し続ければ北京原人存在することになる。(証拠が既に紛失してしまったので検証しようがない)


進化論の背景

現在進化論のような理論が提唱されても学会で否定されるであろう。

このような証左を求めることが出来ない存在現在科学では入り込む余地がない。


しかし、これは当時の時代背景を考慮に入れなければ説明できない問題である。

実は科学とはアインシュタイン相対性理論をターニングポイントにその性質がガラリと変わっている。

それまでは、科学には無限の可能性があり、明らかに出来ない事象は存在しないと信じられてきた。

しかし、このドイツ出身の物理学者が提唱した相対性理論によって、そのことが明確に否定されてしまったのだ。ビックバンと呼ばれる宇宙開闢以前の時間存在しない『モノ』の考証を物理学は放棄した。

これは、当時の科学者には相当な衝撃であり、決して受け入れられないと考えた学者も多かった。

しかし、誰一人、論理的にそれに対抗できる概念を作り出すことが出来なかった。

(その残滓がタキオンやエーテルと言えば理解できるだろうか?)


さて、話は戻るが進化論アインシュタイン相対性理論発表前にダーウィンが提唱した論文が発端になっている。科学が万能であると信じられた時代の遺物。まだ、科学錬金術と近い間柄だった時代に生まれた存在である。

はっきり言ってしまえば、進化論とはアインシュタイン科学の万能性を否定する以前の学会だからこそ認められた存在であり、これは科学というより歴史学といったほうが良い代物である。


◆本文を書こうと思った背景

ちょうど大阪大学菊池誠教授の『水からの伝言』でニセ科学が話題になっていたので常々思っていたことを文章にしてみようかと。それまでは、非常にナイーブな問題で、米国のほうではインテリジェント・デザインとかいう物まで生まれてしまうほど議論にさえならない状態だったこの問題に区切りをつけて、科学ニセ科学を明確に分けたい!という衝動から書かれた文章。

伝えたいことは進化論科学的な証明プロセスはありえない存在であり、進化論科学と扱うことを否定して貰えればそれでいい。


最後に、この進化論の生み出した悪夢について書いておく。

進化論流行らせた最大の間違いは何か?と聞かれれば私は獲得形質を挙げる。

既に遺伝学的に否定された獲得形質ではあるが、

この考えが根本となり、ナチス優生論が生まれ、多くの人間が犠牲となった。

淘汰は自然には起こらず明確な人の意志によって行われたのだ。


(追記)

今回の記事のブックマークコメントを見て欲しい。

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://anond.hatelabo.jp/20061226222936

実はこの手の話は感情的になる人間が必ずいる。しかし、大事なことは追試をどう行えば進化論が肯定・否定されるかを彼らが提示することはないという事実だ。

私は進化論が間違いだと言っているわけではない。そもそも進化論は否定する必要さえない段階の説なのだと言っているのだ。

タイトル釣り過ぎという指摘はその通りでございます。賢い貴方乾杯

続・科学が『ニセ科学』を糾弾できない本当の理由 - はてな匿名ダイアリーに続く)


07:41:09-12/27(水)/2006

インテリデザインという不正確な表記をインテリジェント・デザインに訂正

14:11:45-12/27(水)/2006

ブックマークコメントより、追記の文章を追加

15:05:07-12/28(木)/2006

続編リンク追加

記事への反応 -
  • http://anond.hatelabo.jp/20061226222936 ものすごくニセ科学臭のするエントリなんですが。

  • http://anond.hatelabo.jp/20061226222936 科学の中でも追試が行われ易い分野とそう出ない分野がある。これは、時間スケールが関係しているよ。長い時間をかけて出来るような、天文学や進化の関連..

  • http://anond.hatelabo.jp/20061226222936 >模様から性格に至るまでそれは明確に別の固体のように振る舞い、一卵性双生児のように極めて近い存在とはならなかった。 そもそも一卵性双生児の性格.

  • しかし、このドイツ出身の物理学者が提唱した相対性理論によって、そのことが明確に否定されてしまったのだ。ビックバンと呼ばれる宇宙開闢以前の時間が存在しない『モノ』の考証を.

  • 久々に興味ある話題なので転載してまとめるよ。 http://anond.hatelabo.jp/20061226222936→これを【A】とするよ。 巷で蔓延するニセ科学批判。多くの人間の共感を呼んでいるが、実は問題はそう..

  • http://anond.hatelabo.jp/20061226222936    間合いが劇場の人臭い。  劇場の人が釣ったか、劇場の人の真似をして誰かが釣ったのか、どちらなのか。  

  • 前回、 追試により証左を求めることが出来ない科学は全て『ニセ科学』だ! と、定義してしまった場合の科学の脆弱性について書いたのですが、コメント欄や、トラックバックの反応を見.

    • http://anond.hatelabo.jp/20061228055013 追試により証左を求めることが出来ない科学は全て『ニセ科学』だ!って定義したら確かに現時点で状況証拠だけで検証不可能な仮説は全部ニセ科学になっち..

    • http://anond.hatelabo.jp/20061228055013 私に進化論に代わる理論を求められる方も居られるようなのですが、科学とは別に対案を出さなければ語る資格の無い場ではないのです。 そこまで求めて..

    • もうね、元人文学徒としちゃ「歴史学は反復検証ができないから科学ぢゃない」とか飽きてるわけですよ。 素朴ポパー儲かよ。アホくせえ。クーンとファイヤアーベントとか嫁。 もしくはi

      • http://anond.hatelabo.jp/20061228120019 http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20061226/1167096115 http://fw0.blog37.fc2.com/blog-entry-342.html ファイヤアーベントとファイナルベントの区別がボクにはつかないよ

    • http://anond.hatelabo.jp/20061228055013 歴史は科学ではないのは当たり前として。 じゃあ、ニセ科学か? 違う。別に科学の名を語っていないからだ。 それは、哲学にも心理学にも経済学にも言え.

      • 歴史は科学ではないのは当たり前として。 じゃあ、ニセ科学か? 違う。別に科学の名を語っていないからだ。 http://anond.hatelabo.jp/20061228134307 歴史科学協議会 この人らの立場はどうな

    • 群より個のミーム - はてな匿名ダイアリー ESSって結局『創発』のことだよね? ID論とかキリスト教原理主義のプロパガンダとしか思ってない人が多いと思うんだけど 実際学会で議論になる

  • 科学が『ニセ科学』を糾弾できない本当の理由 からはじまって ねこだいすき! http://anond.hatelabo.jp/20061226222936 [zonia]増田における科学/ニセ科学の考察まとめ 続・科学が『ニセ科学』を糾弾

  • 俺がひっそり書いた偽者はやっぱり気づかれてなかったのか。 ■ 暗黒(Φ血Φ)クワ! http://anond.hatelabo.jp/20061205135012 前回のまとめで最大のミス↑を犯したクワは、もうこれっきりと...

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