2009-03-02

ゆとり教育論議における簡単な四分法

ゆとり教育」と名付けられた政策の本質が、教育における『規制解放』であり新自由主義的政策であることは言うまでもないが、新自由主義にも二つの側面があることは同時に指摘されるべき。従って、ゆとり教育に対する議論は大きく四分することで概観できる。

(1)ゆとり推進派-A(自由化○、市場化○)

 「教育市場化」推進のために『ゆとり教育』を推進した人々(寺脇、経団連)。すでに主流を逐われている。

 実は「ゆとり反対」と目されている一部の保守派は、本質においてここと発想が同じ(たとえば橋下)なのでややこしい。

 合い言葉は「基礎基本の徹底(ドリル、読み書き算盤)」「エリート主義

(2)ゆとり推進派-B(自由化○、市場化×)

 「教育の自由化」推進のために『ゆとり教育』を推進、または賛成する人々(文科省主流)。

 新学習指導要領の内容の主たる部分はこの路線に乗っており、いわば穏健な改革派といえる。

 合い言葉は「思考力」「生きる力」「PISA学力調査」「フィンランド

(3)ゆとり反対派-A(自由化△、市場化×)

 公教育の自由化は長い目で見て社会的不均衡を拡大する危険があると指摘する学者(苅谷とか)を中心とした反対派。

 データを中心としたねばり強い議論が特徴。穏健な保守派

 合い言葉は「学力格差」「階層社会、貧困の再生産」

(4)ゆとり反対派-B(自由化△、市場化○)

 変化を好まない保守派大衆自分たちを大多数と思っているが、時代の変化から、おそらくこの主張が将来生き残る道はない。

 新自由主義への反発から教職組合(実はどこよりも保守的)などがこの立場を取る場合も多いが、一方で単純に競争主義を肯定し、

 むやみに授業時数を増やしたりするだけの自称改革・実は保守な人もこの立場だったりする(和田中の元校長藤原など)。

 とにかく「ゆとり」という言葉に対して過敏に反応し「学力(低下)」という余り根拠の無い言葉に過剰に反応するのが特徴。


見れば分かるように、立場上敵対している人が実は同じ立場・教育観にたっていたりするので、話が混乱してるわけです。『詰め込み型知識学力か/思考力か』という話は、実は議論の中心ではない(もともと両方とも必要に決まっているから)ことに注意。

http://anond.hatelabo.jp/20090302121904

記事への反応 -
  • ゆとり教育は悪? 増田たちよ、それはゆとり教育の利点を見ていないからだ 逆に考えるんだ ゆとり教育は 勉強に付いていけない者=詰め込み教育の弊害=DQMを生まないためであると...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん