2008-11-12

2年間のNEET生活を振り返って。

世の中の、NEETになりたいって人へ。

僕は2年間、NEETをしました。

とても大変な2年間だった。

2年前、母親がとある病気で倒れました。

身の回りの世話をする人間が必要になり、

僕は会社を辞めることになりました。

就職の意思もなく、勉学に励むわけでもないので、

世間一般の定義ではNEETってやつです。

よくインターネットで、

「俺NEETになりたい、一生寝て過ごしたい」とか

「一生NEETやりたい、パソコンで遊べればいい」とか

書いてあるんだけど、 こういう人たちって、正直、

NEETがどれだけ辛いかがわかってないのだろうと思う。

みなさんお酒、飲まれるでしょうか。

強い人も弱い人もいると思うんですけど、そのちょうど酔い始め、

ちょっと頭に霞がかかってきたかなーぐらいのところを想像してみてください。

お酒飲んだことない方は……そうだな、まだ寝足りないのに、

無理やり起こされたときの頭のボンヤリした感じを思い浮かべてもらえれば。

ずっと家の中で延々とNEET生活をしていると、日常思考回路が、

こんな感じのボンヤリボヤボヤに近づいていくんです。

恐ろしくないですかね?

頭の回転がどんどん止まっていくのが自分でわかるんです。

どっちかというと、軽くホラーの部類だと思います。

でも、NEET生活をするって、そういうことなんです。



僕には、母親が回復するまで全ての家事を一人でしなければならないという

明確な仕事があったので、最初のうちはまだ救われていました。

もしこれが本当に何もやることがなくて、

飯食ってパソコンの前に座って寝るだけの生活だったら、

多分気が狂ってたと思います。


それでも、家事に慣れてくると、

だんだんその頭に霞がかかったような状態が襲ってくるんです。

自分の脳細胞がどんどん壊れていくような感覚

その頃は家事に慣れて少しは自由な時間が取れるようになったので、

僕は試しに、それまで自重していた人付き合いをまた再開しました。

大学サークルで一緒だった友達。先輩。後輩。

ゼミの同期。

地元の友達。

女の子

また、ネットの知り合いを誘ってオフを計画したり。

なるべく自分から動いてみました。

すると、なんと頭の霞が嘘のようになくなっていきました。

頭の回転が違うだけでなく、体調面でも、全身のダルさがなくなりました。

一言で言えば、生き生きとしてきました。

しばらく経って、家事と、週二日ほどの人付き合いの繰り返しが

日常になってきた頃、 またあの霞が頭を覆い始めました。

なんだか日常が夢の中で起こっているような、

ボンヤリして頭が回らない、奇妙感覚

今度は、就職のための勉強を始めました。

勉強が大嫌いで、中学1年生以来全く勉強をしてこなかった僕が、

頭を働かせなければマズいと感じて勉強を始めたと言えば、

事の重大さが伝わるでしょうか。

週に数日だけの人付き合いだけでは不足で、

それ以上に頭を活動させなければ、

人間として必要な何かがぶっ壊れるという恐怖がありました。

家事、人付き合い、勉強

この3つを同時に出来るようになったとき、

ようやく自分の頭が人並みに活動していると思えるようになりました。

もし学校に通っているならば。もし会社に勤めているならば。

もしアルバイトをしているならば。もし自分の好きなことを見つけているならば。

僕の必死に働かせた頭と体の、

数倍の活動がいとも簡単に出来るんだろうと思います。

多分、今現在みなさんも、僕が必死こいて働かせた頭と体よりも、

ずっとずっと頭と体を使う生活をしているはずです。

間違いなく。

でも、NEET生活をしていたら、みんながしているだろう活動の

何分の一をすることが、とても大変なことになってしまうんです。



NEETって職業は、確かに自由です。

でも、それは「何かをするための自由」じゃないんです。

「何もしない自由」なんです。

何も生み出さず、何も目指せない、それがNEETなんです。

人間、何もしないのって、本当はすごく苦痛なんです。

頭はどんどん鈍くなって、体は動かなくなって、焦りばっかり募って。

だから、自由って、イコール何もしないことじゃないんです。

「○○って職業になりたい」でも、

「あの娘と付き合いたい」でも、

「株で大もうけしたい」でも、

「今週末に友達誘って映画見に行きたいなぁ」でも、

何でもいいから、夢や、自分のやりたいことが存在して、

そのために自分でいろいろ動ける環境があること、

つまり「何かをするための自由」が本当に贅沢な自由なんです。

だから、

自分の未来の可能性を広げるために学校に通えている人は、

停滞して動けなくなってるNEETに比べてずっと自由です。

何でも生み出せる「お金」を手に入れるために会社で働けている人も、

何も生み出さず何も得られないNEETに比べてずっと自由です。

それでも人間、辛くなると、全てを捨てたくなってしまうことがあります。

NEETになりたいと思うこともあります。

でも、何もできず何にもなれないNEETは、

ちっとも自由じゃないってことは覚えておいてください。

安易にNEETになると、その後辛くなるだけです。

NEETで2年間辛い思いをした俺からのアドバイスです。

でも、本当に辛いときは、休んでください。

新しい自分の目標を見つけるための休息時間は、

決して「何もしない自由」時間ではありません。

それは、大切な、「何かをするための自由」時間です。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん