はてなキーワード: 課長補佐とは
厚生労働省の課長以上には、管理職手当という手当が支給される代わりに残業代が一切支給されない(公務員は労働基準法適用除外、ということで一応合法らしい)。ということで、「絶対に『わかった』とは言わない」どころか、すでにやっているわけですな。
この人はホワイトカラーエグゼンプションについては理解しているようだが、官僚制度の知識はウトイようだ。
国家公務員の課長職は、職級でいうと9級以上の上級幹部職員。国家公務員の職級順位は係員(1-2級)<係長(3-4級)<課長補佐(5-6級)<室長(7-8級)<課長(9-10級)という順位となっており、人数的には官僚ピラミッドの上から0.8%ぐらいまでが課長級以上。
霞ヶ関の本省には国家公務員が約17万人いるが、9級の課長は全省庁で1400人、10級の課長は66人しかいない。地方公務員でたとえると局長など、知事が出席する会議に出るような立場が国家公務員の課長だ。民間企業なら営業部長や工場長や支社長クラス。
国家公務員幹部に超過勤務が支払われていないのは事実だ。しかし、政府が提案しているホワイトカラー・エグゼンプションは、国家公務員の課長クラスを対象としているのではなく、国家公務員でいえば3級の係長とか棒級の高い2級のベテランの係員の残業までサービス残業を合法化してしまえという提案だ。
だから国家公務員の9級の課長以上が超過勤務手当てが無いことをもって、政府が提案しているホワイトカラーエグゼンプションを国家公務員が「すでにやっている」とはいえない。
もし国家公務員の9級の課長以上が超過勤務手当てが無いことを基準とするなら、ホワイトカラーエグゼンプションは年収2000万円以上の役職者だけに限定すべきということになり、それは現在政府が提案している内容とはまるで異なる。
国家公務員の課長をホワイトカラーエグゼンプション適用の基準とするならなおさら、政府提案のホワイトカラーエグゼンプションはひどすぎると考えるべきだろう。
国家公務員はの平の係員にはサービス残業が蔓延しており、残業しても超過勤務手当てが支払われないケースがかなりある。
超過勤務手当てが全額支給されている職員は全体の10.4%程度。実際に支払われている超過勤務手当ては、本来支給すべき超過勤務手当てのおおよそ5割程度だ。
なぜ国家公務員の残業の多くがサービス残業になっているのかというと、組織で使える残業の上限があらかじめ決められていることがひとつの理由。組織としての残業代の上限をいっぱいまで使い切ってしまったら、のこりの残業は、突発的な災害でも起こらない限り、原則としてサービス残業になる。
それがいやなら残業せずにすむよう仕事を効率化して早く帰れ、というのが人事院の言い分だ。が、多くの組織はどこも絶対的に人手不足なので、そんなことはできるはずもない。
たしかに、ヒマな組織も一部あり、そういう組織では、残業代の上限を使い切らないと残業予算が削られるのでしなくてもいい残業をしていることがある。だからそういうムダのないよう不要な残業予算を削ることは必要だ。
だが、人事院や財務省は必要/不用の判断を実態を調べて判断せずに機械的に残業予算を割り当てている。その結果、本当に残業が必要な組織ではサービス残業が蔓延し、ヒマな組織では上限いっぱいまで残業することが固定化されてしまうことになる。これでは悪循環だ。
仕事を効率化させるのはあたりまえとしても、それと賃金不払いは別問題。現実の残業労働に対しルールどおりの賃金が支払われないという現状は、労働法違反であり違法である。
だからサービス残業をやめさせろと組合は再三主張しているし、「国家公務員の残業改善に関する請願」も国会に提出している。誰もサービス残業という現状に納得して好き好んでサービス残業しているわけではない。
多くの組織では人手が足りない。足りないにもかかわらず公務員改革の名のもとで定数を極限まできりつめる。だからますます人手不足となり、残業が増える。残業が増えても公務員改革の名のもとで残業の予算をつけないから、サービス残業となる。結果、過労による労働効率は低下し、不満は高まり、職場の士気は落ち、労働効率は逆に悪化する。
行政サービスが人的問題によって劣化して困るのは、結局は国民だ。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_seigan.nsf/html/seigan/1541351.htm
国公労の調査によれば、年360時間以上の残業者は全体の6割占めており慢性的な長時間労働となっていることが明らかになっている。過重労働による公務災害の認定要件とされる「残業時間月80時間以上」と回答している職員は、ほぼ2割(18.9%)に達している。調査対象となった職員の7.2%(364名)が過労死の危険を「現在感じている」と回答を寄せている事実も明らかになった。
こんな現状だから、厚労省は自分の職員に対してホワイトカラー・エグゼンプションを導入する気などさらさらない。もし導入すれば「違法なサービス残業の固定化だ」という批判が組織内部から一斉におこる。そしてその主張はまったく正しい。だから霞ヶ関は自分の職員に対してホワイトカラー・エグゼンプションを導入したくてもできない。するつもりもない。
つまり、自分ではできもしないルールを、国民に対してだけ、厚労省は求めようとしているということだ。
http://www.sannichi.co.jp/kyodo/news.php?genre=National&id=2006122101000602.xml