2022-10-02

墓終い

実家に帰ったら墓が無くなった。

いつものように家紋が刻まれ墓石があるはずの場所に行くと、そこは更地になっていた。

後ろから声が聞こえる。

「おじいさん、今度はこっちに入った」

見ると、何人もの名前が刻まれた廟がある。

マンションの表札みてえだな」と独り言つ。

共同の永代供養塔に入れ替えたらしい。

まだ爺の名前は刻まれておらず、廟の脇に見慣れた墓誌がある。

「私が死んだら、一緒に名前を入れてもらうから

引き抜かれた墓誌についた土が生々しい。

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