2022-03-27

私はある日、ふと気付いてしまった

私が好きなのは猫ではなく、猫と呼べる概念なのではないか?ということに。

もふもふの毛、しなやかで柔らかい身体、愛らしい大きな目にωのような口、ピンと張った幾本もの髭、うぶ毛の生えた小丘みたいな耳、肉球、ニャアという鳴き声。

私はそれらに惹かれ、猫ではなく猫の概念を愛していたのかもしれない。

……と、そう考えていたところで私の膝の上、猫がゴロゴロと喉を鳴らして顔を拭き始める。

その様子を眺め、心の中の杞憂は漣のように過ぎ去っていった。

空は青青としており潮騒姦しい。猫とは、そういうものなのだ

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