いつも行く近所の図書館。
そこには君がいた。図書館の一番奥の、窓際のイスに君は座って、何やら難し気な本を読んでいた。
僕は本棚で本を探すふりをしながら、横目でちらちらあなたを観ていましたよ。
僕はよく君との会話を妄想していた。
「あのぉ…」僕はおずおずと話しかける。
君「はい?」
僕「僕、ジェロム・レ・バンナ米松と言います。お見知りおきを」
君「は?」
続きはない。
こうしたイマジネーションを図書館に行く前は必ずしたのだが、図書館の奥に座る君には結局一度も自分の名を
名乗ることはできなかった。
そうしてある日、突如としてコロナが湧き、緊急事態宣言が出され図書館は封鎖された。
解除された後、僕は毎日のように図書館に通うが、いまだに君の姿はない。
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