2020-06-26

ジェロム・レ・バンナ米松について

いつも行く近所の図書館

そこには君がいた。図書館の一番奥の、窓際のイスに君は座って、何やら難し気な本を読んでいた。

僕は本棚で本を探すふりをしながら、横目でちらちらあなたを観ていましたよ。

僕はよく君との会話を妄想していた。

「あのぉ…」僕はおずおずと話しかける。

君「はい?」

僕「僕、ジェロム・レ・バンナ米松と言います。お見知りおきを」

君「は?」

続きはない。

こうしたイマジネーション図書館に行く前は必ずしたのだが、図書館の奥に座る君には結局一度も自分の名を

名乗ることはできなかった。

そうしてある日、突如としてコロナが湧き、緊急事態宣言が出され図書館は封鎖された。

解除された後、僕は毎日のように図書館に通うが、いまだに君の姿はない。

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