その伝承を信じて
私は東へ向かう決心をした
あの災厄から200年経った
みんなは言う
「東京はもう滅んでいる」
「人なんか住んでいるわけがない」
「都知事などいるものか」
彼らの言葉はもっともだ
だがそれを確かめるすべは今の私たちにはない
本当に滅んだかもしれない
滅んでいないかもしれない
希望はある
だから私は東京へ行く
この集落も盤石ではない
なるべくみんなを説得して旅に出たい
両親とも別れたくない
武器も食料もギリギリだろう
でも東京へ行けば何とかなる
都知事なら何とかしてくれる
そう祈るよりほかなかった
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