夜道を歩いていると、前を歩く女性と歩く速度が同じことに気づいた。ストーカーだと思われてはいけないので、歩く速度を少し速め、抜かす。
また、前に女性がいる。歩く速度を速める。抜かす。
抜かす。
抜かす。
抜かす。
息が上がってきた。だが、速度を落とすつもりは毛頭ない。抜かす。
抜かす。
抜かす。
抜かす。
周囲の景色が流れていく。息は荒く、内臓は痛み、足が疲労を訴える。だが、止まらない。
抜かす。
抜かす。
抜かす。
景色の判別がつかなくなった。様々な色が前方から放物状に流れていく。大きな熱を感じていた気がしたが、身体の感覚が薄れてもはやわからない。
抜かす。
抜かす。
抜かす。
黒い世界に白く光る線が放射状に無数に延びている。それ以外は何もわからない。だが、決して止まらない。どこまでも行く。
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