2018-12-07

なろう作者「……撃てんのかよ。コーヒーの中に沈んでいた拳銃だぞ」

「……撃てんのかよ。コーヒーの中に沈んでいた拳銃だぞ」

「近頃の拳銃は、泥水の中に三〇分浸け込んでも、そのまま取り出して発砲できる。

 水で濡らした程度で弾が出なくなるとは思わない事だ。この辺りが、銃に疎い日本人の考え方だな」

言いながら、エーカーは迷わず引き金を引いた。

上条は思わず目を瞑りそうになったが、かろうじてそれを押さえつけた。

そして、

ガキッという音が聞こえた。

それ以上は何も起こらず、銃口から弾が飛び出す事はなかった。

安全装置がかかっているのではない。弾が切れている訳でもない。

二度、三度と引き金を引き、呆然とするエーカーの目の前で、上条は右拳を握り締める。

彼は言った。

「熱膨張って知ってるか?」

「ッ!?」

返事を待つより早く、上条の拳が飛んだ。

ゴッ!! という鈍い感触が、エーカーの顔から全体へ拡散した。

それでも彼は倒れない。上条さらに左の拳を握る。

「さっきのダクトと同じだよ。物体は加熱すると体積を変える!」

左の拳が飛ぶ。

殴られたエーカーの頭が、後ろへ揺らぐ。

「銃のパーツだって似たようなモンだ! 熱湯の中に浸け込んでりゃ、細かいパーツの一つ二つは歪んじまうだろ!!」

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