君のタキシード姿は想像通りとても似合っていた。
試着するときは「似合う気がしない」と戸惑っていたのに、それでもしっかり着こなしている様は流石だった。
5m先に君がいる。再婚した母の配偶者の腕を振り払って君の元へ駆け寄りたい。
緊張と照れくささが入り混じった君の表情がなんだか少し可笑しかった。
やっとたどり着いた君の隣。ぎこちなく差し出された腕を抱いて、促すように引っ張った。
少し先で神父様が微笑んでいる。
これから進むのは私たちの未来だ。
ぎこちない足取りで進みだす。重なる呼吸すら愛しい。
「これからもよろしくね」
私は前を向いたまま言った。
隣で小さく頷いた君の足取りがほんの少し、力強くなったような気がした。
そんな夢を見ながらプロポーズされるのを待つ日々。
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