2015-10-09

加奈

加奈ブランコが好きだ。

靴を飛ばすのが好きだ。

飛んで行った靴に当たったのが俺だった。

「イテテ…。」

すぐさまその靴のニオイを嗅いだ。

通常のニオイだった。異常なし。

その中で、ほのかに懐かしいものを感じた。

自然と顔がほころぶ。

あいつのニオイ。

あいつのことが好きだった。

少しだけ付き合って別れてしまったけど、何年もの間悶々としていた。

悶々というより、ストーキング行為に近いこともしてしまった。

そのような行為のせいで永遠に会えなくなってしまった。

拒絶されてしまった。

あの一件が自分にどれだけの影響を与えたのか。

なんであれ経験はするものだというけど、

果たしていい影響を与えたのだろうか?

靴のニオイを嗅ぐ。

もちろん、加奈存在しないがニオイはそこにあり続ける。

これこそが執着であり、俺のすべてだ。

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