2012-08-14

「生きてて悪いか

 戦争が終わって一週間がたった。今やっと、こうして故郷に帰ってきた。この街はまだ、被害が少なかったようだ。私の家も無事だった。

 

 「ただいま。」

 

 期待を込めてそう言った。… だが、返事は聞こえない。仕方なく、上がって、部屋を探しまわった。いずれも空だった。

 最後の部屋、無我夢中だった僕は、ここでフト冷静になった。

 

 バッ!

 

 そこで見たのは、赤い血。

 … 元をたどると、生魚をむさぼり食うネコがいた。すると、とっさに逃げるので、追いかけた。

 

 追っかけて、追っかけて、

 ネコも私も疲れてきた。

 

 「すみません。」

 

 と声が聞こえたので、あたりを見まわすと、どうやら、そのネコが話しているようだった。

 

 「そんなバカな」とも思ったが、確かに、そうだった。

 

 

 「…だって、カギが開いてたから…。」

 という彼の言葉に、私は、

 

 「ああ! だからね!!」と、

 つい、言ってしまった。

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