人は生まれながらにして、生まれる前に帰りたい欲を持つ
完全を放棄し、完全を求めたくなる
主体がない、意識がない状態は生きているうちは手に入らない幸福だ
自我が消え、一切が消えた静かな境地に至りたいと願うようになるのは不思議なことではない
それに比べれば、この世で起こることのなんと移ろい易く、当てにならないことか
だが悲しきかな、それこそが静かな境地に至りたいと思わせるものだ
であれば、この世で起こることも、至りたいと思う事も等しく意味があり、同時に意味が無い
川底の砂がすべて入れ替わっても誰も気にしないように、意味が無い
だから、翻弄される小舟のような我らは、まさにその通りに生きるのが正しいのだ
為した事だけがあるだけだ