十数年前だけど、公園でベンチに座って泣いてるオッサンがいた。
その公園を通り抜けるのが家への近道だったので、俺はいつも学校帰りにその公園の中を通っていたんだけど、
いつもと違うペンチのオッサンの存在にちょっとびびった。
というのも、その人は服もぼろぼろだし、全身びしょ濡れって感じだったんだ。
ベンチに座ってずっと顔を覆ってる。肩が震えていたから確かに泣いてたんだと思う。
とにかく関わり合いにならないように、そっと通り抜けようとした。
なんかオッサンの身体からは海水の臭いがした。海に落ちたのかもしれない。
俺の家の近くには海があった。
そしたら、ふいに顔を上げたオッサンと目が合った。
オッサン、俺を見ると、急に近寄ってきて、なんか必死になって声だそうとしてた。
「波」とか「逃げろ」とかなんとか。。
オッサンの顔はちょっと俺の親父に似てて、一瞬アレ?と思ったけど、普通じゃなかったし、ヤバイ気がして俺は走って逃げた。
後ろを振り返るとオッサンは追っては来なかった。
公園のオッサンの話は迷ったけど俺は誰にも言わなかった。
怪しい人に近づいてはいけないっていつも言われてたので、親父に怒られる気がしたからだ。
その親父もあの地震で津波に飲まれて死んだ。あの公園も流された。
もうあの景色は二度と戻ってこないんだなってしみじみ思う。
もう一度あの頃に戻れたらなー、何が何でも別の土地に引っ越すように言うのになんて。
叶わない願いだけど。
なんとなく ノスタル爺http://www.youtube.com/watch?v=FYO78B_2aHM 思い出した。