2011-09-20

公園で泣いてる人がいた

十数年前だけど、公園でベンチに座って泣いてるオッサンがいた。

その公園を通り抜けるのが家への近道だったので、俺はいつも学校帰りにその公園の中を通っていたんだけど、

いつもと違うペンチのオッサンの存在にちょっとびびった。

というのも、その人は服もぼろぼろだし、全身びしょ濡れって感じだったんだ。

ベンチに座ってずっと顔を覆ってる。肩が震えていたから確かに泣いてたんだと思う。

とにかく関わり合いにならないように、そっと通り抜けようとした。

なんかオッサンの身体から海水の臭いがした。海に落ちたのかもしれない。

俺の家の近くには海があった。

そしたら、ふいに顔を上げたオッサンと目が合った。

オッサン、俺を見ると、急に近寄ってきて、なんか必死になって声だそうとしてた。

「波」とか「逃げろ」とかなんとか。。

オッサンの顔はちょっと俺の親父に似てて、一瞬アレ?と思ったけど、普通じゃなかったし、ヤバイ気がして俺は走って逃げた。

後ろを振り返るとオッサンは追っては来なかった。

公園のオッサンの話は迷ったけど俺は誰にも言わなかった。

怪しい人に近づいてはいけないっていつも言われてたので、親父に怒られる気がしたからだ。

その親父もあの地震津波に飲まれて死んだ。あの公園も流された。

もうあの景色は二度と戻ってこないんだなってしみじみ思う。

もう一度あの頃に戻れたらなー、何が何でも別の土地に引っ越すように言うのになんて。

叶わない願いだけど。

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