というのも、わたしは少しだけ専門的かつ絶えざる需要のあるスキルをもっているので
いわゆる「派遣」ないしは「アルバイト」で週に三日働けば年収250~300万円を維持出来るのです。
ヨメもやはり同様の仕事でわたしよりちょっと多く働き年収400万。。家事はわたしがやり、子どもは作る予定も全くないので
将来への不安はほとんどゼロ。どちらかが元気ならなんとでもなるよねー、と思いながら暮らしています。
そのついでに、十年来の友人夫婦と共同で家を買いました。
三階建ての二世帯住宅をお金を出し合って購入し、かなりいいとこにいいかんじの家が買えました。
ちょっと間取りをいじっただけでお互いのパーソナルスペースは確保出来たし生活上の不便はほとんどありません。
22からつとめた某企業の腐れ激務で大分砂漠化が進行していた頭皮も少しずつ回復して来ました。
友人たちも家を手に入れるとともに仕事を減らし、悠々自適モードに入っています。
そんなわけで、我々はお金のかからない旅行をしたりお酒を飲んだりしてとても楽しく暮らしています。
思うに、子どもを作ろうと思わなければ我々の生活は年収700万辺りから大いに豊かなのです。
少々生活レベルを落とせば子どもだっていけるでしょう。(ただしこの先奨学金制度がどうなっていくのかは不透明ですが)
そう考えた時、まず「結婚」というのは非常に効率の良い手段です。生活者が二人になったところで支出の増大が
さほどあるわけではありません。予想外に変わらないものです。もちろん、どちらかが贅沢好きなら成り立ちませんけどね。
わたしたち夫婦と友人夫婦の好きなものは、読書と料理とお酒と会話。毎日を楽しく過ごしても、まだ収入が余ります。
わたしは昔、年収が1400万くらいあり、年棒制で働いてました。
そのおかげですっかりハゲた上に肝臓を壊したわけですが、それはともかくとして。
そういうところにいると、確かにお金はいいです。でも、出て行くお金も半端じゃありません。
しかも、「年収」がそれだけあってもかなり笑えない額を税金で持っていかれます。
身なりも、食事も、酒も、付き合いも、遊びも、なにもかもが望まないもので満たされます。
わたしもヨメも服なんてユニクロでかまわないし(むしろ好きです)車でフラっと海に行ったり
山に行ったりするだけで十分楽しいのです。なにもない日は本を読んでネットをすれば退屈する暇なんてありません。
旅行がしたくなれば4万円くらいのチケットを取ってタイでも行けばいいんです。沖縄より安くて楽しい。
二週間遊びほうけても8万円でお釣りが来ますよ。
要するに、我々の時代というのは「お金がある」ことが物質的幸福と等価でなくなってきてるんです。
読書が出来て、ネットが出来て、遊びに行けて、デザイン性には欠けるものの良質な衣服があって、美味しい食事を作ることが出来て。
本来、それ以上何を望むべきなんでしょうか。もちろん、社会的身分というものはあります。
そういったものが欲しい人はそれを追い求めればいい。しかしですね、それそんなに重要でしょうか。
わたしは実際、古巣で幹部になるまで出世するメリットは見出せなかったです。クオリティオブライフ、とかそういう観点で。
では、そういった生活を得ようと思ったらどうすればいいかといえば。
話はカンタンで、寄り集まればいいんです。結婚もそのための一つの大変有益な方法論。
昔、わたしは極貧生活をしていた頃がありました。貧乏学生だったんですね。
その当時、まだルームシェアという言葉はなかったですが、友人たちと3LDKアパートに三人で暮らしていました。
この生活が、存外に良かったんです。家賃は十万円ほどでしたが三人で割れば大した数字ではありません。
その時得た教訓はこういうものです。月収6万円で一人暮らしは無理です。でも、月収六万円が三人集まれば最低限は暮らせる。
月収十二万円が3人集まれば、それはもう「最低限の文化的生活」を大きく上回る水準になるんです。
そういう生活は、楽しいです。
わたしは元来が非常に孤独に弱い人間なので、誰かが一緒にいないと死にます。
会社にいた頃は全ての人間が敵に見えて、大変に心を蝕まれました。ふとワインのボトルを一本持って
階下に下りていけば親友のいる今の暮らしは、わたしにとって最高のものです。
もちろん、こういう生活にはリスクもそれなりにあって
誰かのミスや裏切りを全員がこうむることになります。ルームシェアが瓦解するのはそういった事例も多いでしょう。
そこの部分は人と人のつながりに加えて、ある種の契約の論理でヘッジしていかなきゃならない。
でも、それさえ出来れば人生は最低限の労力で、けっこうたのしいのです。
最近、すごく希望のある書き込みを2chで見ました。詳細は忘れましたが
「貧乏人が結婚できない時代はもう終わった。これから貧民同士寄り集まって生きる時代だ」
といった内容で、ああそこまで時代が来たんだなぁと感慨深かった覚えがあります。
わたしは「貧民」と名乗ることは流石に出来ませんが、それでもそういうことだと思ってます。
世帯収入が500万円あればそれなりに楽しいのです。分かち合えば、豊かなんです。
最近の「結婚する相手は年収1000万円ないと…」みたいな風潮や、それに反抗する女性たたき。
それを見てると、「そりゃ貧しいよ」と思ってしまう。そこを巧いこと分業すれば、この貧しくなる一方の日本でも
けっこうたのしく生きられるんじゃないかなーと思うんですね。
ケンカしても碌なことがない、生きるために仲良くする時代が来たとわたしは思うんですよ。
みんな、仲良く出来たらいいんですけどね。わたしとヨメも含めて。
ケンカ別れになったらわたしもヨメも友人夫婦も終わりですからね、そこだけは怖い。
でも、さみしくないっていいものですよ。
そうやってゆっくりみんなでダラダラ滅んでいく時代なんじゃないかな、って。悪くないですよね。
面白かった。
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