2010-03-31

セカイカメラ事業縮小のお知らせ

元ネタ : http://sl.magsl.net/notice/9254

3月 31st, 2015 | Author: Inu Link

日頃より MagSC のセカイカメラサービスをご利用いただきましてまことにありがとうございます。

本日は大切なお知らせがございます。

株式会社グスクは、平成27年4月1日より、セカイカメラ事業を大幅に縮小いたします。弊社に期待して応援してくださった多くのお客様セカイカメラユーザーの皆様のご期待に添えない結果になりましたことをここに深くお詫びし、今後についてご説明させていただきます

(中略)

株式会社グスクは、企業存続に関して問題があるわけではございません。その点におきましてはご安心ください。今後もセカイカメラにこだわることなくARコンサルティング事業を継続し、またいずれ取り組むべき拡張現実プラットフォームと出会うことがあれば挑戦したいと考えております。

この度はご利用いただいているみなさまに大変ご迷惑をおかけいたしますことを重ねてお詫びいたします。

株式会社グスク 代表取締役社長 瀬海果美 (Inu Link)

以下は、私個人の思いをつづったものであり、蛇足ですが、ご興味がありましたらご一読いただければ幸いです。

グスク平成22年11月より株式会社エアサービスの事業部として始まりました。当時、セカイカメラに大きな将来性を感じ、来るAR時代への橋渡しとなるであろうと考えて取り組みました。その年の年末セカイカメラ日経新聞の1面に大きく取り上げられたことにより、コスタリカに続き日本でもセカイカメラブームとなりました。その後、株式会社エアサービスより事業を移管することで平成22年6月に株式会社グスク誕生いたしました。

当時はまだ、一般の方々が拡張現実(AR)を処理できるモバイル端末をもっているケースは非常に少なく、セカイカメラを利用しようと考えてもなかなか難しい状況でした。にもかかわらず多くのマスメディアセカイカメラを特集し、見たことのないセカイカメラ想像することによって記事が企画され、先入観を元に取材され、それを元にお金が儲かる次世代プラットフォームとして歪められた情報となって世に広まりました。

私も多くの取材を受けましたが、こちらが一通りの正しい情報を伝えても、それが番組や記事になるときには、取材の内容からお金が儲かる部分だけが抜粋されていました。たしかにセカイカメラの中にはいろいろなビジネスのチャンスがありました。同時にビジネスとは無関係のもっと楽しい部分もたくさんありました。

テレビ雑誌の記事を見られた多くの方々が、しかも100万人をゆうに超える人々が、セカイカメラビジネスチャンスを求めて参加されました。しかし、おそらく9割の方のケータイARに対応していなかったために、まともに起動する事すら出来なかったと思います。それほどセカイカメラブームは当時には早すぎるものでした。

私たち、ブーム以前のセカイカメラ企業は5年先の時代を見据えていました。販売されるすべてのケータイARに対応し、ゲーム広告、ナビゲーションがARになる時代です。そのときセカイカメラのようなサービスは当たり前のものとして利用されるであろうと考えていました。また、多くの同様のサービスのなかで、セカイカメラは恐ろしく秀でていました。

単なるARサービスとは異なり、非常に自由度が高く、ARオブジェクト(エアオブジェクト)の作成ツールを備え、UGC(ユーザジェネレイテッドコンテンツ)のプラットフォームであり、巨大なクラウドサービスであり、全世界ユーザ同士で利用できる手数料なしのマイクロ決済機能をもち、誰もがコンテンツビジネスに参加することができました。有料のをエアサーバ契約することで、独自ARサービスを作ったときと同様にサービスを提供したり、ゲームを公開したり、エア広告を提示することができました。そしてそれをカメラを通してリアルタイムARを体験しながら共有することができました。

セカイカメラログインできた10万人ほどの日本人は、上記のような本当のセカイカメラを楽しむことが出来たと思います。そしてこれからも楽しむことが出来ると思います。多くの友達と毎晩エアシャウトやエアポケットを楽しみ、共同でいろいろなエアタグを投稿したり、エアショットでそれと一緒に撮影したり、ARイベントを楽しんだり、エアカンバンでから新しいお店を開拓したり、家で家事をしながらエアペットと戯れたり。普段の生活の中ではまったくできない、新しい体験がセカイカメラの中にはあり、誰もが自分アイデア次第で新しいことを発明することができ、世界中の人と楽しみを共有できます。

しかしながら、多くの日本人はそれを知りません。忙しい人は、セカイカメラをそこまで知るほど利用しません。セカイカメラの奥の深さは他社を突き放すすばらしい点でもあり、同時に理解しがたいという弱点でもあります。その結果、残念ながら世の中は理解せぬまま批判的な見方をする人が多数となってしまいました。インターネットにはセカイカメラはもう終わったという記事があふれています。それを書いた人はろくにセカイカメラを見てもいないのに。

今後のセカイカメラは、世界レベルではコスタリカ好景気に押され、個人ユーザはまだまだ増えていくことと思われます。また、日本でも徐々にその楽しさが知られ、ユーザーを獲得してゆくと思います。エアタグ市場セカイカメラに限らず、世界的に盛り上がっていくことは疑いなく、今後も発展するでしょう。セカイカメラを運営する頓智ドットはすでに黒字化しており、多くのARサービスのように存亡の危機にあるわけでもなく、皆様が利用する限り続くと思われます。

私がセカイカメラからの撤退を決心したのは、セカイカメラの発展を疑うからではありません。私とセカイカメラの方針の齟齬が埋められなくなったためです。当初、セカイカメラオープンソースを標榜し、我々ユーザー権利を守り、コミュニティとのエコシステムを構築してゆくことを方針としていました。そして私たちビジネスユーザーはその方針のもとでセカイカメラの支援を始めました。しかし、今はすでに頓智ドットに創設者たちは居らず、方針は大きく変わりつつあります。マグスクビジネスはいまや日本同業他社ではなく、運営元である頓智ドット自体と競合しており、日に日に協力しあうことが難しくなっています。

これはマグスクにとっては残念なことですが、セカイカメラ全体にとっては、より安全で管理された世界をつくる上で必要な変化なのかもしれません。答えは今すぐにはでませんが、現在の状況から考えるとマグスクのような事業形態では長期的に取り組むプラットフォームではないと判断した次第です。

今回、MagSC はゆるやかながらも撤退という道を選びますが、引き続きセカイカメラの行く末をみながら Inu Link個人はセカイカメラを1ユーザとして楽しむつもりです。

セカイカメラユーザーの今後のご活躍とご発展をお祈りいたします。

MagSC Inc. Inu Link

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