医薬品のネット販売は本当に規制すべきなのかという記事があちこちにある。
なんだか面倒くせー話になってんなあ、薬剤師の連中も規制も結構だが、なんらかの方策をとらなければジリ貧だろう。ってなくらいであまり気にも留めていなかった。個人的に通販で買う事も無いしと考えていた。
しかしつい先日、自分にも影響が出てきた。私は某製薬企業に勤めている。わりといろんな種類の薬を製造販売しているんだけど、社販で安価に自社の医薬品を購入出来ていた。新商品の入れ替えで返品される旧パッケージのものとか、使用期限がやや短くなったものとかが安く買えた。
ところがだ。例の規制の話があり、購入出来なくなってしまったのだ。今まで、商品を選んでFAXすると数日後には送られてきていたのだけど、それは薬の通販というワク内で運用されていたらしい。勿論、薬剤師もいたから、少なくとも形の上ではアドバイス受けられる状態にあったのだろう。それが利用できなくなった。家族には好評だったのになあ・・・
私個人はともかく、会社は訳有り品の処分に困るだろう。売り上げは大した事は無いだろうけど間違いなくコスト増となる。そのコストは当然、薬に転嫁する事になる。巡り巡って薬を飲む患者さんに負荷がかかる。会社では誰も言わないけど、個人的には薬屋というのはツライ商売だと思っている。一言で言えば、病人から金をむしり取っているからだ。薬を飲む事で健康を維持している人にとっては足元を見られているのと同じ事だ。
先日、たまたま患者さんから生の声を知る機会があった。
その患者さんは長年、当社の薬を飲んでいるのだけど、昨今の派遣切り報道を見て、自分が飲んでいる薬もそういう人達が作っているかもしれない。自分はこの薬で健康を保てていて、とても感謝しているけど、ひょっとしたら派遣さんの不幸の上に成り立っているとしたら悲しい事だ。自分は製造している会社、製造している人達にとても感謝している。それは同じ薬を飲む人達にとって同じはずだ。自分が言ってどうなるものでもないし、口出しするような事じゃないかもしれないけど、どうかそういう気持ちの人間がいる事だけは解ってほしい。この薬を実際に作ってくれる働いている人達に感謝を申し上げる。
という話だった。84歳のおばあちゃんらしい。工場に聞いて確認したら、業務請負も派遣も現場にはいないとの事。いるのは社員と直接雇用のアルバイトだそうだ。間接部門にはいるが、いわゆる派遣切りという状況にはなっていないという事だった。それを伝えると、泣きながらお礼とおわびをもらったとの事。
この話を聞いた時、涙が出てしまった。薬を常に飲みつつも、派遣切りを気に病むおばあちゃん。昨年の暮れからずっと気になっていたけどどうする事もできず、悩みに悩んで電話をかけてきてくれたらしい。そんな話をしても相手にされないだろうと悩みに悩んだらしい。
そんなばあちゃんに負担がかかるような話になると思うとツライ。
まあ、ネット販売規制に反対を唱えている人達はたんに売り上げが欲しい人達だと思うんだけど、薬を頼りにしている弱い人達の事も少しは考えてください。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0902/23/news012.html
過った個人主義に染まってる世代って校内暴力世代か? モンスター世代とかぶるよね