事実を伝えるのではなく、イデオロギーを伝える事に熱心な新聞はいらない。
http://sankei.jp.msn.com/life/education/081008/edc0810080731000-n1.htm
問題は3点(本当はもっと。)
1.議論の土台となる統計が不適切なものを使っている。
3.因果関係の検討がない。
1.議論の土台となる統計が不適切なものを使っている。
組織率だけでは活動の過激さは分からない。
そこで日教組の「強さ」を測る指標として、平成19年と16年の参院選(比例)で、日教組の組織内候補(民主党の計2議員)の総得票数を調査。今春実施された全国学力テスト(小6、中3)の国語、算数・数学の平均正答率の合計を都道府県別に比較した。
http://sankei.jp.msn.com/photos/life/education/081008/edc0810080731000-p2.htm
「日教組の組織内候補(民主党の計2議員)の総得票数」でわかるのは、民主党の2名の得票数以外の何物でもない。
理由は当たり前だが、
・得票数は有権者数に比例するので、得票数で比較しても意味がない。
・民主党議員の選挙結果が日教組の組織の強さに関連しているという検証がない。
つまり、この総得票数では日教組の組織の強さは判断できない。明瞭な間違い。
こんなベーシックな間違い以外にも、不明瞭なところが多すぎる。
・民主党の議員が2名以上(2名未満)いた場合はどういう基準で選定しているのか?
・平成19年と16年の参院選で民主党の得票は大きく違ったが、どういう基準で選定しているのか?
・候補者数が多い場合、一人当たりの得票数は少なくなるがどう判断すればいいのか?
「日教組得票率=日教組の組合活動の強さ」という定義で行っている議論だから、「日教組得票数が少ないものの、組合活動が強いとみられる地域」は定義と矛盾している。
一方、石川、静岡の両県は日教組議員の票が1万5000票以上出ている地域だった。ただ、両県は「特に問題視されるような目立った闘争運動はない」(文科省関係者)という。
こんな文章をみると、日教組得票数と組合活動の強さそのものに相関があるか疑問だ。
3.因果関係の検討がない。
このような議論で忘れていけないのは、「AだからB」という結論に対して、「BだからA」または「C(隠れた原因)だからA+B」という可能性が存在すること。
原因だと考えていたAが、結果だと考えていたBから引き起こされている可能性もある。
例:「学力が低いから、組合の組織が強い」(可能性は低いが、)
まったく想定していない原因Cが存在して、その結果として目に見える現象であるAやBが引き起こされている可能性がある。
例:「私立学校の比率が高いことが原因で、組合が弱くなり、学力は向上する」(可能性高い?)
「一生徒あたりの教育予算が低いことが原因で、組合が強くなり、学力も低下する」
学力に関連する因子は山ほどあるのだから、因果関係を検証しなければ何も言えない。
一クラスの生徒数/一教師あたりの生徒数/一生徒あたりの教育予算/教員平均年齢/公立・私立率(教育行政比較)
通塾率/親の年収/親の最終学歴/親の離婚率/核家族率/共働き率/出生率(家庭の比較)
本当に、この記事は信頼に値しないものだ。
きちんと数値で検討しようと思ったら、既に検証した人間がいた!
素晴らしい!!!
http://d.hatena.ne.jp/kei999/20081008
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/blog/node/2282
悲しい結果も。
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/blog/node/2274
統計は適切に使わないとね。
全都道府県でやっても組織率とでは相関係数ほぼゼロ(ないし僅かにマイナス) 結論そのものがおかしいわけではないし、朝日の記事は恣意というより相関係数とか分からん読者に合わせて...