■新社会人前の夢
2017年3月31日
新社会人の憂鬱はかくも愚かな行為によって増幅されていた。
午前8時には選挙カー二台が至近距離で呼びかけをはじめていたのだ。
到底、安眠などできるはずもなく彼は車のキーをとると市外へと走らせる。
彼には夢があった。
その住む場所はそれを許さなかった
彼には夢があった。
その住む人はそれを監視し、阻害した。
彼には夢があった
確かにあったはずだった。
その市では昼はたらくにんげんいがいにはおおよそ人権はない。
さべつされる。奇異の目でみられる。
ひととちがうことをあの場所はみとめない。
逃げ出すんだ。
あの因習蔓延る場所から
そう思うと途端に楽になった。
彼の主観は彼自身しか知覚できないのだから。
貴方の一生は貴方のものだ。
どうかどうか他人の為に一生を使いませんように
どうかどうか自分の為だけに一生を使いませんように
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