A 「あの娘、可愛くない?」
B 「うん、可愛そう」
A 「は?」
B 「いや、『~そう』って言うじゃん。『美味しそう』とか『面白そう』」
A 「お前が言っているのは『可哀想』だ。『面白そう』とかの『そう』とは違う」
B 「え~、ややこしい」
A 「更に言えば漢字も違う。『可愛い』は愛情の“愛”。『可哀想』は哀しみの“哀”なんだよ」
B 「ん~、何となく分かったけど、やっぱりモヤモヤしない?」
A 「んなこと言われても、そういうもんだと理解するしかないだろ」
A 「特殊、て」
B 「だからさ、『可愛そう』も作ろう」
A 「ややこしいって趣旨でお前が話していたはずなのに、自らややこしくするのか」
B 「或いは、逆に」
A 「逆に!?」
B 「そう、逆に『面黒想』」
A 「は?」
A 「えー……お前のそのアイデアに対して『面黒想』って返すべきなんだろうけど、それすら嫌だなあ」
B 「なんで?」
A 「色々言いたいことはあるが、まず白の対義語として黒をあてがったんだろうが、話の発端となった『可愛いい』の『愛』と、『可哀想』の『哀』は対義語じゃない」
B 「え、じゃあ何」
A 「愛の対義語は『憎』。哀の対義語は、楽しいの『楽』とか、歓びの『歓』」
B 「え、どっち?」
A 「『可愛いい』の『愛』の対義語が『憎』で、『可哀想』の『哀』の対義語が『楽』とか、歓びの『歓』だよ!」
B 「うへー、読むにしろ、聞くにしろ面倒くさくなってきたよ」
A 「じゃあ、やめるか」
B 「いや続けよう」
A 「続けるのか」
B 「つまりは『可愛い』を『可憎い』だとかにすればいいんだよね」
A 「俺のほうが訳分からなくなってきたので、やめさせてもらうわ」
AB 「どうも、ありがとうございました~」
可愛いかどうかは見ればわかるんだから、予想の「~そうだ」を実際目にして使うのはおかしいよ。成り立ってないよ。