2011-11-04

カミングアウトされて、カミングアウトして、付き合った。

同性愛者の大学生

ゼミで気になる先輩がいた。初めて会ったときは、すごく無愛想で、人見知りが強そうな印象だった。

けれども、それは最初だけだった。毎月のように飲み会をして、毎日のように会って、すぐに親しくなった。

いつしか、先輩に対して恋愛感情を抱くようになっていた。

ちょっとしたしぐさが、居眠りをしているときの表情が、笑っているときのその顔が、すごくかわいくて、好きだった。

いつもいつも、肩や手が触れそうなくらいの近さで隣を歩いていた。ドキドキして、何も話せないことが多かったけど。

ゼミ雑談をしていたときに、先輩は「同性と付き合うなんて無理ー」とたびたび言っていた。

いつも親しくしてくれているのは、後輩としてかわいがってくれているようだった。

あわよくば、と思っていたけれど、それは叶わないのだと知った。そして、それでもいまの関係が続くだけで十分だと思っていた。

それからしばらくたって、飲み会の帰りに、先輩とふたりきりになった。

「じゃーこれから暴露大会だー!」。先輩はすっかり酔っていた。飲み会のあと、ふたりきりで、なにを暴露するつもりなんだ。

「じつは、同性愛者なんだー!」。隣から聞こえてきたのは、思いがけない言葉だった。

何が起きているのかまったく分からなかったけれど、自分もそれに応えた。「先輩と同じです」。

自分も動揺していたけれど、先輩も動揺していた。お互いどうしたらいいのか、分からなかった。

すこし間をおいて、「きみのこと、嫌いじゃないよ?」。先輩がそう言った。

先輩の顔はうつむきがちだったけれど、赤く染まっていたようだった。かなり声が震えていた。

思い切って言った。

「先輩、好きです

ひとけのないところで、唇を重ねた。



あれから色々あって、いまはもう別れてしまったけれど。

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