2010-02-22

http://anond.hatelabo.jp/20100221183451

コミットメントを前提とするインフレターゲット政策」を前提にしながら「コミットメントが困難だからリフレ政策は無理」ってあり得無くない?



君はコミットメントを「それを仮定しさえすればなんでも出来る魔法の杖」か何かと勘違いしているのか。

通常のインフレ目標コミットメントメカニズムを一から説明していては日が暮れるので、はしょって説明する。興味があるなら自分勉強して欲しい(コミットメントにこだわるなら、マクロだけでなくミクロテキスト学習すると良い。繰り返しゲームあたりなど)。重要なのはどうやってコミットするかということ。例えば、無限繰り返しゲームを仮定して、一時的なサプライズインフレーションを行うインセンティブを中銀がもっていたとする(中銀の目的関数はこの文脈で一般的なものを用いる)。この場合、例えば一度でもターゲットレートを上回るインフレ率を中銀が設定したら民間は以後中銀を信頼しなくなる、というトリガ戦略を敷くことで、中銀にターゲットレートを守るインセンティブを与えることが出来る(この戦略は、若干修正すれば中銀が経済のstatusに対してprivate informationを保持している場合、または中銀が完全にはインフレ率をコントロールできない場合にもある程度は対応することが出来る)。これによって、中銀はターゲットレートにコミットすることが出来る。

このコミットメントと、リフレ政策が要求する「いつか景気が回復したら均衡インフレ率以上にインフレ率を誘導する」ことにコミットすることとが「同じ」だと言えるのか、ということ。クルーグマンが仮定した「均衡実質金利が一時的にマイナスになっている状況」からの脱却がcommon knowledgeであればまだ何とか両立は可能かもしれない(同じなどでは全くないが)。しかし、それが例えば中銀のprivate informationであった場合には(均衡実質金利などという統計など存在しない)? 2つのコミットメントが異なるのは言うまでもなく、両立も困難と言わざるをえない(不可能であるとは言わない)。

加えて書けば、クルーグマンが仮定する「来期には均衡実質金利プラスに復帰する(中銀による過剰なインフレが実行可能になる)」の「来期」が遥か先のことだとしたら?その遠い将来に必要となる(より)過剰なインフレコミットすることが、本当に可能なのか? 今現在インフレーションバイアス抑制しているコミットメントメカニズムが、その遠い将来の過剰インフレへのコミットをも可能にするなどと何故簡単に断言できるのか。

もし依然としてこっちの書いていることに納得できないというなら、「なぜ同一視できるのか」、そのコミットメントメカニズムを分かるように説明してもらいたい(論文引用ももちろん構わない)。正直疲れてきたので、二つのコミットメントメカニズムが同じとは言えない、ということくらいはそろそろ納得してもらいたいのだが。

記事への反応 -
  • ふーん。ブランチャードはリフレ政策に効果がないと主張し、一方ではインフレターゲットの数値を引き上げることを検討すべきだと主張してると。 ところで、リフレ政策の理論的基礎...

    • http://anond.hatelabo.jp/20100218194345 ところで、リフレ政策の理論的基礎とインフレ目標政策の理論的基礎はそんなに異なるものなのかいw 全然違うに決まってるじゃないか。ブランチャー...

      • 全然違うに決まってるじゃないか。ブランチャードが議論しているのは均衡インフレ率の話 え。金融政策が均衡インフレ率を操作できるって? おかしいな。なんか根本的に理解して...

        • http://anond.hatelabo.jp/20100220230624 将来のインフレ目標に(したがってそれを達成する貨幣供給量に)コミットすることにより期待インフレ率を操作するメカニズムは、通常のインフレ目標...

          • だから、2%のターゲットレートを4%に引き上げることによって、コミットメントの問題が追加的に発生することはない。 いや、だから全然ずれてるよ。最初の2%のターゲットにコ...

            • http://anond.hatelabo.jp/20100221183451 「コミットメントを前提とするインフレターゲット政策」を前提にしながら「コミットメントが困難だからリフレ政策は無理」ってあり得無くない? 君...

              • 色々と親切に教えてくれてありがとう。勉強します。

                • http://anond.hatelabo.jp/20100222091736 もう見ていないかもしれないけれども。 とりあえず、学部高学年向け又は大学院初級向けのテキストなら、必ず時間的不整合性についての解説があるはず...

      • 利下げできなくても量的緩和ができるのでは? 政策金利はどれくらい貨幣を増やすかの目安で結局利下げも量的緩和同様に中央銀行が資産を膨らませるということに変わりはない。

        • http://anond.hatelabo.jp/20100220110208 利下げできなくても量的緩和ができるのでは? ゼロ金利制約下ではマネーサプライをいくら増やしても無意味という話はクルーグマンが10年前に説明し...

          • ゼロ金利制約下ではマネーサプライをいくら増やしても無意味という話はクルーグマンが10年前に説明してるので、そちらを参照して欲しい。 これは反論になってないよ。それともわ...

            • http://anond.hatelabo.jp/20100221101656 意味が全く分からない。無視してしまおうかと思ったが一応2点。 当該エントリーを何度も読み直したがそんな意味で解釈できない。 「コミットメント...

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