2009-06-29

池は見つからなかったけれど

ひとりよがり後日談ブコメ頂き、恐縮です。

昨日、池を探しに行きました。

車で1時間実家の隣町には10年ぶりでした。

雨も降らず、暑い一日でした。

池は、結局見つかりませんでした。

隣町の風景子どもの頃とはすっかり変わってしまって、

池の場所がどこだったのか、思い出すことが出来ませんでした。

時間か歩いて、私は諦めました。

「もう、いいんだ」と私が言い、彼女は「本当に?」と聞きました。

私は頷きました。

それから、ポケットからスルメを取り出して、袋を開け、ゲソを一本咥え、

彼女にも一本差し出しました。

彼女は笑いながらゲソを咥えました。

ゲソを咥えて、私たちは笑いました。周りの人からはきっと変な人たちに見えたでしょうね。

私は、友達の話をしました。

ザリガニ釣りに行った話、同じミステリーを読んでいた話、彼が好きだったポッキー

大好きだった秘密の場所。今は家が立ち並んでいましたが、昔は芝生の畑でした。

こっそり忍び込んで転がって話をするのが大好きだった。

話しながら、私は泣いていました。

涙がぼろぼろ出た。そのうち、泣いているせいで話せなくなった。

私は嗚咽していました。歩きながら、子どものように泣きました。

彼女が静かに私の後ろを歩いていることがわかっていました。それが嬉しかった。

私たちは私の部屋に帰りました。

帰り道無印良品彼女レインコートを、私は黒いナイロンポンチョを買いました。

昨日の夜はいつもと同じ、私たちの静かな夜でした。

今日、雨の中、彼女と海まで歩きました。

レインコートポンチョで、傘はささずに。

フードに当たる雨粒の音と、波の音が重なっていつもの浜辺がどこか遠い国の浜辺のようでした。

家に帰ってシャワーを浴びて、彼女は帰りました。

冷えたのではなく、蒸れたのです。

日本梅雨時、傘を差して歩くほうがふさわしいというのが今日の答えでした。

明日から仕事に戻ります。

昔、友達に話したように、科学者としての仕事を続けていきます。

友達は医者になりたいといっていました。

天国があるなら、彼はそこで医者になれたでしょうか。

いや、天国には医者は要らないですね。そこが本当に楽園ならば。

これでこのお話は終わりです。

最初にひねくれた勢いで書き出したことがきっかけで、

なんだかとても長い旅が出来ました。

ありがとうございました。

コメントを下さった皆様に感謝を。

http://anond.hatelabo.jp/20090626014641

追記

友達の死因は、自転車ハンドルが胸部に当たったことでした。

後ろから来た車のフェンダーミラーが友達の自転車ハンドル右側に当たり、

その反動で私の前を横切るように、左側へ飛ばされたのです。

彼は直接車にはぶつからなかったそうです。

飛ばされてガードレールにぶつかった自転車の突起、恐らくはハンドルが胸にぶつかった。

それが学校先生から聞かされたことです。

このことも、ずっと思い出さずにいましたが、昨日思い出しました。

記事への反応 -

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん