2008-07-11

日本が警戒すべき「複合体」

いま、日本が警戒すべき「複合体」は、もちろん、米国のような軍産複合体などではない。既成その組織、既成の方針、過去成功体験などを金科玉条とし、学歴に基づく自らの身分に誇りを共有する、官僚機構日本銀行経済界、学界、マスコミなど、あらゆるところにネットワークを張る複合体の人脈だ。

官僚国家の崩壊』(中川秀直)P23

テレビ映像に出てくるような圧力団体族議員は、その同盟者に過ぎない。「本尊」は目に見えない、匿名存在である。まさにレーダーに捉えきれない「ステルス爆撃機」のような存在で、目には見えないが強大な力を持つ。

官僚国家の崩壊』(中川秀直)P24

一時、勝ち組負け組論が盛んだったが、彼らこそ「究極の勝ち組」である。なぜなら、大学卒業時点で「究極の勝ち組複合体」の一員としての身分を一度、確保すると、負け組になることはないからだ。「競争があるだろう」と思う人がいるかもしれないが、同期の競争といっても、本省か出先か、あるいは本社関連会社か程度の差しかない競争であり、身分は保障されているのだ。

数年前、勝ち組といわれた人たちは、いま、どれだけ生き残っているか。市場原理に生きる人に永遠に勝ち組はいない。

というのも、彼らは「ステルス複合体」の外側にいるからだ。「ステルス複合体」の中にいる人のみが永遠勝ち組で、彼らが身分を剥奪されるケースがあるとすれば、複合体を裏切ったときのみなので、身分を守るために「身内の論理」に絶対の忠誠を誓う。そこに隠蔽が偽装が発生する。「ステルス複合体」の中では政策論争が起きないのだ。

官僚国家の崩壊』(中川秀直)P24

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