2007-08-11

火垂るの墓』に対する米Amazonレビュー 低評価版

A Successful Failure - 『火垂るの墓』に対する最も参考になる米Amazonレビュー

あんまり高評価のばかりでもバランスが悪いので、そうでないのも訳してみた。

エントリ下部に追記あり:8/12)

53 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

「とても失望した・・・」2003/11/4

By "cgharoth" (Richmond, VA United States)

私はこの映画を「世界各国の批評家に賞賛された力強い反戦映画」というAmazonレビューどおりのものと期待して購入した。確かにこの映画人間の本性のあまり感心できない部分について描いた映画として見る事が出来るが、その内容と演出は反戦映画とはとても言い難いものだ。

この映画空襲によって家を壊された少年とその幼い妹についての話だ。もっとも、オープニングの場面で既に、最後には彼らは二人とも死んでしまうことが明らかにされるのだけれども。

映画の初期の場面では、少年とその妹は親戚の家に滞在しており、その親戚はあからさまに彼らの滞在を疎ましく思っている。

少年は妹と遊んでいるだけで仕事をすることを拒否している(これがその親戚が彼らに家と食べ物を提供するのを嫌がっている唯一の理由だ。)のだが、彼が自分自身の扶養を助けるのではなく家を出ることを決めたことは、悲劇的なこととして描写されている。公式の解説では、彼の最も口うるさい叔母が彼ら2人の扶養を嫌がるのは「欲張り」だとしているが、これは戦争のこの段階においては食べ物と資源が不足しているという事実を無視している。彼女少年に頼んだことは、村を助けるために、彼が与えられている食べ物避難所の分の働きをしてほしいということだけなのだ。

映画の後半では、彼の妹が栄養不良から病気になってしまう――これは最も悲しい場面とされていて物語の転換点でもあるのだが――しかしその演出効果は、少年が単純に親戚に謝ることも出来たという事実によって台無しになってしまう。親戚は彼が戻ってくることに対して良い顔はしないだろうが、しかし確実に戻ることは許しただろう。ある農民は少年をそう諭しさえしたのに、彼は戻ることを拒否した。その後に起きたことは他の誰の過失でもなく、彼自身のものだ。

この映画を見ていて唯一私が心に抱いた感情は、少年が彼のプライドを捨てて妹の命を救おうとしないことに対して募っていくフラストレーションだった。映画において、登場人物が自身の命をいつでも救うことが出来るのに、それを拒否することほど痛ましいことはない。

この映画戦争に関する非常に偏った描写は、物語が進むにしたがってその筋書きがより戦争とは関係のないものになっていくことで更に不鮮明になっていく。

公式の解説で用いられている「(戦争犠牲者が耐え抜いた不必要な苦しみ」という言い回しも、この物語に関する不正確な説明の一つだ。少年とその妹の苦しみは確かに不必要なものだったが、しかしそれは少年がその苦しみをいつでも止められたという意味においてだ。戦争は、彼自身の判断――プライドを捨てて仕事を分担するのではなく、苦しんで死ぬことを選んだこと――とは何の関係もない。



追記(8/12):

こういう背景も↓

このレビューの指摘はもっともであるし、評者は正しくこの映画テーマを読み取っている。しかし、それをもとに映画の評価を下げるのは間違っているのではないか。

なぜなら、この映画パンフレット自体に、野坂昭如自身が、評者と同じことを述べているのだ。・・・

「火垂るの墓」に関する低い評価(米Amazon) - ちょさかのひとりごと

(ぶくまページ経由)

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  • Re: 『火垂るの墓』に対する米Amazonレビュー 低評価版

    アニメ版しか知らないけど、「フランダースの犬」もそうだよね。 みんながネロを助けようとしているのに、その手を振り払い、 パトラッシュを道連れに半ば自殺のように死んでいく...

    • http://anond.hatelabo.jp/20070813015555

      うわ、日記に「フランダースの犬」に言及したら、一足先にやられてた!

    • みんなは子供の頃そんなに賢かったの?

      http://anond.hatelabo.jp/20070813015555 ガキの頃は下らない事にこだわったり、逆にありえないほど自信過剰だったりするよね。 おじいさんが死んでも最後は幸せになった「家なき子」のレミの...

      • http://anond.hatelabo.jp/20070815010443

        戦争のために両親をなくしても、清太のようにならない子もいるので、人様々ではありますね。 その様々の中から、一番文学っぽい作りをするのが、文学者、というわけで。

      • うろおぼえだが

        観艦式でのかっこよかった軍艦と父親の姿を思い出しては「くろがねの歌」を勇ましく歌う。 空襲時の火事場泥棒の帰りには「燃えろ燃えろみんな燃えちまえ」と叫ぶ。 日本の敗戦を...

      • レミがうそ臭いかといえば

        おれ、『家なき子』は、というかレミはそんなにうそ臭くないと思うんだ。 旅芸人として生きてきた分、人の行為のありがたさとか、得がたさとかと、日銭を稼ぐことの大事さを良く知...

      • Re: みんなは子供の頃そんなに賢かったの?

        ガキの頃は下らない事にこだわったり、逆にありえないほど自信過剰だったりするよね。 つまり子どもっぽいくだらないこだわりで、 死ななくてもいいのにパトラッシュを道連れに...

  • 「火垂るの墓」が好きではなかった

    火垂るの墓はアニメしか見た事ありませんが、以前は余り好きではありませんでした「清太が節子の我侭を優先させて、叔母の家を出て行く」というのがどうしても我慢ならなかったので...

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