2024-05-13

橋の真ん中あたりで人とすれ違ったとき、見覚えがある気がしてふと振り返った。

向こうの人も同じように振り返ってこちらを見た。

やはりどこかで見た気がする。

向こうの人はニコッと微笑んだ。

こちらも微笑んだ。

向こうの人は微笑んだまま、こちらへ近づいてきた。

一歩、二歩と。

私は思わず後ずさりした。

それを見て、向こうの人は駆け寄ってきた。

微笑んだままで。

私は走って逃げた。

すると、向こうの人は止まった。

こちらも止まった。

向こうの人は微笑んだまま、手を上げてこう言い放った。

フランク・○○○ビッチ!」

こちらも手を上げて応えた。

フランク・○○○ビッチ!」


私たちはそれぞれが進むべき方向へ歩き出した。

私は川辺下り下流へと向かった。

あの人は上流のほうへ向かうのだろう。

おそらくそうだろう。

いつかまた、こちらが川の上流へ向かい、あちらが下流へと向かうとき

あの橋ですれ違うことになるだろう。

そのときはまた、あの言葉が交わされることになるだろう。

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