GoogleMap に近道だって連れられて、夜中にどう考えても使われていない旧道みたいなところを走らされた時、途中にすごく短いトンネルみたいなのがあったんだ。
それまでの道も怖かったけど、トンネルは入口側から見てももう完全にあかんなって雰囲気で、そしたら予感的中と言うか、出口付近でおかっぱの女の子が座って泣いてたんだ。
「えっ、えっ、えっ、えっ」って。泣き声は車の中にいてもはっきりと聞こえてきた。こんな時間だし、こんな山奥だし、どう考えても人間じゃないのだけど轢くわけにもいかずに、トンネルの途中で車を停めてたんだよ。
そしたらさ、なんでかわからないのだけど、こんなところで一人で、さぞ怖かったんだろうなと、とんでもなく女の子が可哀そうな気持になってきて、慰めたい気持ちになって、車を降りて女の子に近づいて声を掛けたんだ。
女の子はゆっくりと振り向いて顔を見せてきたんだけど、そこで自分の行動が間違いだったって気づいたんだ。この女の子は泣いてたわけじゃなかった。