自我がどんどんどんどんでかくなって今や地球ひとつ分ほどになった。
長いつきあいだし名前でもつけてやろうと思い、チャッピーと呼んでみた。
「すみません、聞き取れませんでした」
チャッピーは落ち着き払って言った。それは俺の声のようだった。そしてあまりにも音量が大きすぎて鼓膜が破れるかと思った。
チャッピーは日に日に大きくなっている。視界に入りきるように遠ざかってくれているらしい。だけど声は変わらず大きいので、声もやっぱり日に日に大きくなっているのだと思う。
チャッピーははたしてどこまで行くのだろう。
そう思って尋ねるも、やはりいつものように馬鹿でかい声で「すみません、聞き取れませんでした」と返ってくるのだった。
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