小学校低学年のころ、転んで手のひらを軽くすりむいた。
母にその傷を見せて「ちょっと怪我した」と言ったら、こう言われた。「あら!傷口に塩を塗ったら早く治るよ」
俺は素直だったのでそうなんだーと思って塩を塗った。消毒液を塗ったときみたいにちょっと痛かったけど、まあこれで早く治るんなら良いだろうと思った。
それからしばらくして、「傷口に塩を塗る」という慣用句に出くわした。治すって意味だよな、と思うんだが、どうも文脈と合わない。調べてみると、塩を傷口に塗ると特に良いことはないが痛いというのが前提にあるらしい。
俺は怒り心頭で母に詰め寄った。「傷口に塩塗ったら痛いだけじゃないか、なんてことを言ってくれたんだ!」
ひでえ親だ!