2019-12-16

被害は覚えていても、加害は思い出せない

子供の頃の話である

大きな家の2階から「これを拾った人はバカ」と書いた紙をバラいたことがある

なんでそんな増長しきったいたずらをしたのかは思い出せないが

歪んだ家庭だったか、よほど勘違いしていたと思う

年配の女性が拾うところを見ていた

とても悲しそうに紙を捨てて、肩をこわばらせて歩き出したのが見えた

傷ついたであろう人を目の当たりにして、やっと悪いことをしたことに気づいたのだった

の子供は似たようなことを繰り返して悪いことを学んでいった

そのたびに誰かが傷ついていた

ごめんなさいとしか言いようがない

そして今、加害に憤っているのだから世話がない

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