あたしはそういうの行ったことないし、人混みは苦手な方だったから不安だった。
あたしは行くことを決めたんだよ。
雨の方が盛り上がるって聞いてたけど、降り方が激しくて視界が遮られる程だったと思う。
そんな中、ナナが待ち望んでたバンドが出演中止になった。
ナナは平気平気って言っていつもみたいに振舞ってたけど、内心落ち込んでるのは鈍感なあたしでも分かってたよ。
そんなとき、当時はまだ知らなかったアーティストが順番を繰り上げて出てきた。
「だけど 飛魚のアーチをくぐって
同じでいられると想う?」
Coccoだった。
あたしたちは手を繋ぎながら泣いてた。
ねえナナ、
あの時知らぬまにつないでいたその手を
本当はずっと握りしめていたかった。
いつまでも ずっと