2018-08-22

ねえナナ、




一緒にフェス行ったこと覚えてる?

あたしはそういうの行ったことないし、人混みは苦手な方だったか不安だった。

でもナナがすごく楽しそうに好きなバンドのことを話すから

あたしは行くことを決めたんだよ。


フェス当日はかなり強い雨だった。

雨の方が盛り上がるって聞いてたけど、降り方が激しくて視界が遮られる程だったと思う。

そんな中、ナナが待ち望んでたバンドが出演中止になった。

ナナは平気平気って言っていつもみたいに振舞ってたけど、内心落ち込んでるのは鈍感なあたしでも分かってたよ。


そんなとき、当時はまだ知らなかったアーティストが順番を繰り上げて出てきた。


「だけど 飛魚のアーチをくぐって

宝島が見えるころ 何も失わず

同じでいられると想う?」

「人は弱いものよ とても弱いものよ」





Coccoだった。

あたしたちは手を繋ぎながら泣いてた。






ねえナナ、

あの時知らぬまにつないでいたその手を

本当はずっと握りしめていたかった。

いつまでも ずっと

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