人生にログインするのがめんどくさくて、ずっと人生を放置していた。放置していた分だけ、ちゃんと人生にログインしてプレイしていた奴とはレベルに差がついてしまって、ますますログインするのが嫌になった。しまいにはパスワードを忘れた。人生にログインしなければ、苦しまなくて済むかと言えばそうでもなくて、人生にログインしていないこと自体がボクを苦しめた。ようやく重い腰を上げて人生にログインしようとするも、パスワードが思い出せなくて、ログイン画面をじっと見つめる日々が続いた。ある日、それはある日としか言いようがない、平凡な日だった。ある日ボクは、ふっとパスワードを思い出した。ログイン画面でパスワードを入力すると、ボクの人生が再び始まった。パスワードは『がんばらなくていい』だった。がんばらなくていい。とりあえずログインして、猿みたいな奴はテキトーにあしらって、好きなようにプレイすればいい。とりあえずログインしていれば、とりあえずなんだっていい。そんなことを思いながら、ボクは人生をプレイしている。