「おい、何を考えている」
「今日の昼飯をどうするか考えていました」
「仕事中だぞ」
「仕事中だからといって、ずっと仕事のことばかり考えているわけがないでしょう」
「そうじゃない。仕事中に『何を考えている』と聞かれたら、実際が何であれ『仕事中です』と答えろといっているんだ」
「なるほど。では仕事のことを考えていました」
「そうだ、それでいい」
「……というわけなんだよ」
「ふーん、どうでもいい」
「うわ、わざわざ輪に入ってきて『どうでもいい』とは随分だな」
「どうでもいい」
「どうでもいいと思っているなら口出ししなくてもいいだろうに」
「どうでもいいと思っているから口出しするんだよ」
「おいおい、それはいけないことだぞ」
「なんだよ。いけないこととはいっても、信号無視して渡るようなもんだろ?」
「いや、それよりも遥かに大罪だ。下手したら殺される」
「マジかよ……」