■息子に殺されるかもしれない
15歳になる息子は刃物が好きだ。
いつもナイフの専門誌を買ってはため息をつきながら眺めている。
その時の彼は恍惚の表情をしている。
このままだといつか殺されるだろうなと、ぼんやりと考えている。
近所の小学校でうさぎが殺された時、
まっさきに息子を疑ったが、それを口にすると
逆恨みされそうで言えなかった。
刃物には魔物が住んでいてね
と、うんちくを語ってくる。
適当に話をあわせているが、その時の彼は気分が高揚している。
普段はおっとりしている性格なのに、早口になるのですぐわかる。
ただではやられない。
今、ポケットには肥後守がはいっている。
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