「退路を断ったら死に物狂いになるから自活できるようになるだろう」という発想がそもそも逆。
自活できる人間だけがひとり静かに陸を蹴って小舟で道もクソもない大海へどうにかこうにかこぎ出して行けるの。
実際、例え親がお金をじゃんじゃん送ってこなければ気が済まないという人間であっても、アルバイトみたいな不安定な身分じゃなくきちんと自立し自活していれば、「この余り金はとりあえず取っといて、あとで親に還元しよう」とか何とか理屈をつけて全額貯金用口座に放り込んで手をつけずにいられる。
今は自活を諦めなさい。君が海へ出ても溺れるだけだ。両親が綱投げてくれていて助かったと感謝するに留めなさい。
決してその綱を放してはいけない。君はパニックになって溺死する。
泳げるようになるだけじゃだめだ。どんなに小さくても転覆する可能性があっても、その上に二本の足で立って海を眺められるような足場になる舟がなきゃだめだ。