ここに1本の黒えんぴつと、1枚の白い画用紙がある。
ある人は言う。
「こんな道具じゃまともな絵なんて描けやしない。赤や青や緑や黄色、その他様々の色の絵の具や絵筆が必要だ。最低でも12色の色鉛筆セットがないと何もできないよ。」
別な人は言う。
「私が持っているのはこの1本の黒えんぴつだけだ。これは確かに完璧な道具ではない。しかし私は今私が持っているこの道具を使って、私に出来る限りの絵を描いてみようと思う。」
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いずれにせよ、あなたは生きて、死ぬでしょう。
何らかの絵を遺して。
あなたが持っている道具のセットは、宇宙であなただけに特有のものです。
あなたとまったく同じ道具のセットを持っている存在は、あなた以外にどこにも居ません。
その道具を使ってどんな絵が描けるかを試せるのは、世界であなただけです。
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やがてあなたが死ぬときに、私はあなたと一緒にあなたが描いた絵を見るでしょう。
そして私はこう言います。
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「 これはなんて素晴らしい絵なのだろう 」