「どうして逆さまになってるのかね」
「教えてやってるんだよ」
「月ごとに分けるのが常識なんだよ」
「交通費をつけろ」
「ブロン液のレシートは」
とうとう耐え切れなくなって、母親の肩をこぶしで何回も叩いたりしてしまった。
「プライドが高いから起こるんでしょ。プライドの高くない引きこもりじゃない人は怒らない」
などと言われた。
さらにそのあと、酒を買ってくるように言われ、買いに行った後も暴言を吐き続ける。
「いっつも捨て台詞を吐きやがって」
「そんなんじゃ謝ってることにならないんだよ」
「ぎゃー(ドンドンと床を叩く音)」
「口が臭い。あんたにできることは公害をまき散らさないだけだ」
「いっつも、いっつも、反論しやがって。ガキ」
「お前が先にやったんだろうが」
「どーせね」
「どうせね。世の中は男が働くようにできてるんだよね」
「みっともないったら、ありゃしない」
「みんなは働いてくび」
「女だからCADオペやらしてればいいと思ってるのか」
「本当にどうしてこんな子ができちゃったんだろう」
「いっつも、いっつも、暴力振るわれてさ」
「あんたのその浮世離れした感覚は何とかならないの。引きこもってるから仕方ないんだけどさ」
「そうやってネットを触っていたって、浮世離れしてるからうまくいかないんだよ」
「遺産相続の話だってさ…なんてああなるんだろうね。自分だけが殻の外」
「何であんたのためにあちこち頭を下げないといけないの」
「はぁっ…(どんと机をたたく」
「ねえ、ごりちゃん。お前は口も臭くないし」