2009-11-12

いじめられっ子に贈る、たった一つのアドバイス

それは「自分の打ちこめる何かに出会って欲しい」ということ。

私自身も中学1年・2年生の頃いじめを受けていた。しかしこれを実践することで、中学最後の年にはいじめと無縁の生活を送れるようになった。以下では私がこう考えるにいたった軌跡を書こうと思う。

先述したとおり、私は中学一年生のころからいじめを受け始めた。理由は些細なことだった。

「あいつをいじると反応が面白い」

そういって私は数々の嫌がらせをうけた。トイレホースで水をかけられたり、サンドバック代わりに殴られたり、教科書を捨てられ貴重品を奪われたり、自分の机に「キモい死ね」と書かれたり、あげく「(自分名前)菌がうつるから近づくな!」と言われクラス全員から避けられたり・・・。これ以上書くのはやめておくけれど、世にいう「いじめ行為」は一通り受けたのだろうと思う。

もちろん私の心は愉快ではなかった。学校から帰って部屋にこもり「どうやったら楽になれるだろう」とずっと考えていた。学校にも居場所がない、家の外にも場所がない、だから家にこもる。けれども家では親に悲しい姿を絶対見せたくなかったから、私の居場所は自分の部屋しかなかった。

「このまま生き続けたとしても、くだらない人生を送るんだろうな」

薄暗い部屋で自分の悲しい末路を考えたあの時間を、私はいまだに忘れられない。涙が止まらずに床にポタポタと落ちた。うめき声を押し殺すように、私は口に手をやり突っ伏した。そして暗い中にずっとそのまま沈んでいた。

しかし中学二年生の夏、そんな私にも転機が訪れた。それは「本」との出会いだった。当時の担任の先生が私に「面白いから読んでみなさい」と、大平光代の「だから、あなたも生き抜いて」を貸してくれたのだ。

自分の知らない世界がこんなにもあるのか」

私は驚くと同時に興奮した。その本を読み終えると、私はジャンルを問わず沢山の本に触れるようになった。江戸川乱歩の「怪人二十面相シリーズ田中芳樹の「銀河英雄伝説」、そして三国志演戯。本を通じて私は「いじめられている現状」だけが人生ではないことを知った。大平光代のように自殺未遂を乗り越えて弁護士になる人もいるし、怪人二十面相のようにプライドの高い大泥棒もいるし(想像上だけど)、ラインハルト・フォン・ローエングラムのように強烈な天才もいるし(此方も勿論)、義に生きた関羽や超雲のような武将もいる。

「もっともっといろんな人の生き様や考え方を知りたい」

そう思った私は、読書だけでなく勉強にも精を出すようになった。

社会時間が一番のお気に入りになった。日本史世界史に出てくる偉人の話を聞いていると、私の背筋はゾクゾクした。だからどれだけいじめられようと、学校は絶対にやすみたくなくなった。そしてこれまでしたことのなかった授業の予習復習もしてみた。そうするとテストでも点数がとれるようになり、勉強が好きになった。(いじめられっ子を見返してやりたいという気持ちも、勉強を好きになった原因の一つかもしれない)。そして「大学でもっとたくさんの人生・考え方に出会いたい」という夢を抱くようになり、これまで考えもしなかった高校進学にも憧れはじめた。


学内でぶっちぎり底辺だった成績も、次第に真中くらいになっていた。

ふと、自分身の回りを見渡してみる。

不思議いじめはなくなっていた。

昔のいじめっ子数学を教えている自分が、確かにそこにいた。


そして私はこう思った。昔の自分には、学校という場所しかなかった。しかし今の俺は読書という、自分だけの打ちこめる「場所」を手に入れたんだと。それがきっかけで、きっと心にも余裕が生まれて、他の色々なことにも気づくことができた。担任の先生が「本」を貸してくれたのが、きっと俺の人生の転機だったんだ、と。

だからこそ、いまいじめられているあなたも「自分の打ちこめる何か」を探してほしいと私は思う。私の場合それは読書だったけれど、世の中は本当に広い。こうしてネットを使えているのだから、あなたも自分の好きなものにすぐ出会えると思う。そして学校なんてどうでもいいから、その自分の好きなものに熱中してほしい。そうするとあなたも心に余裕が生まれて、いじめなんてしょうもないものだと思えるようになると思うし、その先に自分の新しい生き方も見えてくるはずだよ。

幸運を祈ります。

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