近年、若者の間で農業が熱い――といっても、本物の農業のことではない。最大手のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であるミクシィが8月に始めた「mixiアプリ」上での話である。「mixiアプリ」とは「マイミク」と呼ばれる友達と気軽にゲームなどを遊べたり情報を共有できたりする、ミクシィ上のサービスの一つである。
その「mixiアプリ」上でもっとも人気を博しているゲームの一つが中国第2位のソーシャルゲームメーカー・Rekooが運営している「サンシャイン牧場」である。ネット上で擬似的に作物を育てることが出来たり、家畜を育てて、売ってお金を稼ぐことが出来る。その人気を支えているのが「ソーシャル機能」だ。友達の畑に害虫を入れることや収穫物を勝手に奪うことが出来る。ヘビーユーザーである増田葉手波さん(20)=大学生=は「手軽なコミュニケーションをしながら、一緒に作物を育てたりすることが出来るのが楽しい。ネットゲームには『ゼロから人間関係を作れるかな』と不安感があるが、mixi上だと手軽に始められるのがいいところ」と語る。
一方で若者の行動に詳しい櫻神大学文学部教授・産田頼経氏は「『サンシャイン牧場』上でのコミュニケーションは虫や水遣りといった開発者側で用意されたツールを介して行われている。近年、若者は一定の形式に嵌ったコミュニケーションを好む傾向が見られ、そういう若者に受けたのではないか」と分析する。その上で同氏は「近年の若者のコミュニケーションの形式化によって、人間関係の空洞化が進んでいる。お互いに虫をやり取りすることによってコミュニケーションをした気にさせるこのアプリはその傾向を強化するものではないか」と警鐘をならしている。
別の方面からもこの"異常人気"ともいえる現象に不安の声があがっている。「日本の農業を再生する会」を主催する此国憂氏は「この"擬似農業"ゲームは大した苦労がなくとも容易に金銭が稼げ、農業の実態に即していない。若者の農業認識に誤解をもたらす可能性もあるのではないか」と語る。ゲーム上では種植えから数時間放置しておくだけで作物が出来る仕組みとなっており、その中途過程にある農家の様々な努力は省かれている。
中国発のゲームに多くの若者が熱狂しているという現象に多くの人が危惧を表明しているが、その人気は衰えるところを知らない。今後どのように"擬似農業"ゲームがネット上で展開されていくのか、注目してきたい。
おおむね同感なんですけど、それ言うと「空気よめ」って感じかもしれないなあと、黙ってます。 だって、理解できるわけないじゃないですか。かんかん照りの日に、草取りをする汗...
杞憂 ゲーム脳の次は疑似牧場脳ですか?とでも言っておけばいいのではないだろうか?