2009-05-09

「億万長者」

アメリカ田舎町。趣味プログラマーシェアウェアを作っていた。

そのソフトは素晴らしい発想を持っていた。休日に彼の家を訪れた同僚は、

「すばらしいプログラミングの腕と発想力だね。どれくらいの時間プログラミングをしているの」 と尋ねた。

すると彼は「そんなに長い時間じゃないよ」 と答えた。

同僚が 「もっと開発に時間をかけたら、もっとよいソフトが作れて大ヒットだろうね。おしいなあ」 と言うと、

彼は、公開しているWEBページのサーバー代にはこれで十分だと言った。

「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」 と同僚が聞くと、彼は、

RSSリーダーを見て、それから時間だけプログラミングする。終わったらブログを書いたりtwitterしたり、

夜になったら友達とチャットして、Skypeして、tumblrして…ああ、これでもう一日終わりだね」

すると同僚はまじめな顔で主人に向かってこう言った。

ハーバードビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。

いいかい、きみは毎日、もっと長い時間ソフトの開発に時間をさくべきだ。それでバージョンアップを何度もしてソフトを売る。

お金が貯まったら広告を出す。そうすると購入者はさらに増え、儲けも増える。

その儲けで開発者サポート要員を1人、2人と増やしていくんだ。やがてちゃんとしたソフト会社ができるまでね。

そうしたら趣味プログラミングはやめだ。販売組織を作って、そこから全世界マーケティングをかける。

その頃にはきみはこのちっぽけな安アパートを出て都会に引っ越しシリコンバレーへと進出していくだろう。

きみはシリコンバレーオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」

彼は尋ねた。「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」

「20年、いやおそらく10年でそこまでいくね」

それからどうなるの」

それから? そのときは本当にすごいことになるよ」 と同僚はにんまりと笑い、

「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」

「それで?」

「そうしたら引退して、山間の片田舎に住んで、

一日中RSSリーダーを見たり、たまには趣味プログラミングしたり、ブログを書いたりtwitterしたり、

夜になったら友達とチャットして、Skypeして、tumblrして過ごすんだ。どうだい。すばらしいだろう」

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