2008-03-15

地方の雑誌メディアの終焉が近い件について 追記9

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http://anond.hatelabo.jp/20080302010145 8 の続きです。

多くの外的要因により、地方の雑誌メディアタウン誌」は苦戦を余儀なくされています。しかしそうなるに至った原因として、衰退してしかるべきとも言える組織の弱さ、企業として未成熟な部分があることを語らなければならないでしょう。

現在タウン誌現場スタッフ、とりわけ若い世代は先のことなど考えられないほどの激務に晒されています。「タウン誌」という媒体の行く末を見定め、舵を取らなければならない経営サイドは、激変する環境に有効な手だても打てぬまま、「創刊当時はもっと大変だった」「自分たちもやってきたことだ」を繰り返すばかりです。

労働環境の過酷さと、それに起因する離職率の高さ。あまりの回転の速さに社員教育もままならず、それが社員の士気とモラルの低下にも繋がる悪循環。そのような環境下で、現場の核とならなければならない女子社員(一般の会社よりも女性社員の率が高く、ほぼ半数が女性という会社が多いそうです)は、子どもが出来ればこの激務は続けられるわけもなく、ほぼ間違いなく退職を余儀なくされます。このような「人材使い捨て」の職場環境で、技術だけでなく人的ネットワークも含めたノウハウの伝達が途切れてしまっています。ごく一部であって欲しいのですが、「うちで経験を積んで、他の企業に誘われる人間になれ。それで辞められるのは一向にかまわない」などと社員の前で公言する経営者もいると聞きます。

タウン誌黎明期の20??30年前、今は経営サイドに机を並べる人たちが、タウン誌という媒体ゼロから作り上げた苦労は、想像を絶するものであったといいます。人からは酔狂といわれ、地方初の若者向け雑誌など続くわけないと陰口を叩かれながらも、タウン誌というものをひとつのメディアとして育て上げたのです。その結果、タウン誌スタッフは街のオピニオンリーダーになりました。強力な個性とバイタリティを持ち、様々な仕掛けを繰り出し、街を動かしていたのです。そこには挑戦者としてのモチベーションがありました。当時のタウン誌スタッフたちは、誌面にだけに止まらず「誰もやったことがないこと」を、一地方都市で次々と実現していきました。それは往々にして東京若者ムーブメントの焼き直し的なイベントや仕掛けであったりもしましたが、確実に地方都市若者たちの心を掴み、動かしていたのです。時代はまさにバブル期。機を見て敏な中央の大手代理店は、こぞってタウン誌と組んだイベントキャンペーンに大金をつぎ込みました(それでも地方の新聞テレビを使うよりも格安だったようですが)。若者というセグメントされたターゲットに、確実にメッセージを届けられる媒体として、タウン誌は唯一無二の存在だったのです。そして、その支持率も相当なものでした。「おしゃれな人はタウン誌を読んでいる」そんな嘘みたいなことが、ほんの20年前には確かにあったのです。

しかし、いくら影響力があるとはいえ、タウン誌出版社なんて、所詮社員数など20人にも及ばない零細企業ばかりです。「好きじゃなければとてもやっていられない」ような薄給と激務に、当時からかなり社員の出入りは激しかったそうです。出来ない人間は、過酷な労働条件に音を上げ、出来る人間は自分の能力をもっと高く買ってくれる場所を求めて去っていく。数多あるタウン誌出版社の中で、「企業化」に成功したのはごく少数でした。そして、その結果、立場を「経営陣」に変えた創刊メンバーを継ぐべき世代はほとんど残らず、経営陣の下で常に20??30代の若い社員が入れ替わり続けるという状況が生まれています。

社員を育て上げても、仕事を覚えた端から(あるいは覚える間もなく)次々と退職していく。それがタウン誌出版社という組織の典型的な姿なのです。

記事への反応 -
  • 広告が激減してるんですよ。販売売上だけではいかんともし難いんです。 タウン誌というニッチなビジネスモデルが出来て30年。今や雑誌メディアは広告ありきみたいな流れになってま...

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    • 本屋で仕事しているので、 とても勉強になります。 「なんちゃらWalker」より、「ホットペッパー」のが脅威なのか… 続きも、楽しみに読ませていただきます

    • お店というか会社をやっているのでたまに雑誌の取材を受ける。 で、たまに変なのが混じってる。 取材費は「うちもち」でという取材だ。 しかも、そういう大事なところを最後まで言わ...

      • 当方は取材する側なんだけど(もち無料で、普通の雑誌) たまに取材アポとると、すごい勢いで「お金かかりますか!」とか聞いてくるショップさん ある理由がはじめて分かった。 す...

        • 「取材費」「7万円」「8万円」とかでぐぐってみそ。 結構みんな営業うけてるよ。 彼らの営業の条件は 登記+設立から3年以内とかそんなところじゃないかな。 設立初期は功名心があ...

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      • 飲食店の店長が言ってたけど、クーポン利用者は利率が下がる、リピーターにならない率が高く、一度始めると利率低下を売り上げ額で稼がないといけなくなるから抜けられなくなるって...

    • 東京のメディアだって広告料とれなくて、圧倒的に広告記事増えてるよ。日経とか。 最近のトレンドは、唯一の良心である「記事広告」ってマークを消した広告w >いくらクライアン...

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      • ネット広告費、雑誌を抜く 電通調査 - ITmedia News こんなの出てました。 ばっちりヒットですね。

      • 一方で雨後のタケノコのようにホットペッパーの手法を真似たクーポン誌が各地で創刊されました。その多くは、出版経験のない山師的な経営者が後先考えずに発行し、数号で消えて行...

    • 知り合いの店にこの手口で「佐藤蛾次郎」が取材に来ますよ!っていう営業電話がかかってきたらしい。その絶妙な人選「佐藤蛾次郎」にものすごく心動かされたらしいが、結局断ったと...

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      • ずぶずぶだな。まあ広告モデルである以上、どんな媒体も同じ問題を抱えるわけだが。 まぁそこに代理店が入るか、自前で全部やっちゃうのかとか、いろいろバリエーションがあって、...

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