車内で携帯電話を使ったというトラブルが、揉め事に発展し、当事者以外の第三者が非常停止ボタンを押して、電車が止まったという話である。
この問題で、悪いのは誰かという話になっている。
1)車内で携帯電話を使ったのが原因なので、原因を作った人。
2)たかがマナー違反にしつこく食いついて、周囲の人々に喧嘩であると誤認させるほど騒いだバカ。
えーっと、答えが出てしまっているようだが、一番悪いのは、携帯電話を使った人に対して注意をした人である。
携帯電話を使っていた側は110番通報を行っているくらいだから、かなり悪質に、あたかも正義の実行者の如くに絡んだのであろう。
こういった問題は、この3人のうち、どの人がいなければどういう状況になっていたか、そして、それは許容できる状況なのかという点で、判断を行えば良い。
1)が居なければ、確かにトラブルは発生しなかった。しかし、2)が存在し、かつ、電話の電源を切り忘れて鳴らしてしまう事くらいは将来十分に発生すると予見されるので、1)を排除しても、同じような事態が将来発生するだけで先送りでしかない。3)が居なければ、非常ベルは押されなかった。しかし、1)が110番通報している位に揉めているのだし、非常停止ボタンを押さなければ事故の危険性があったと考えるのは、妥当である。となれば、排除すべきは2)となる。こういう事案をねちねちとつつきまわす学問に興味があるならば、法学部に進学すると良い。
最近、たかがマナー違反程度のことに、大騒ぎするのが増えているような気がする。勿論、マナー違反は非難されるべきであるが、法律で禁止されているわけではないし、法律でわざわざ禁止する程の事でもない。マナーを守るのは推奨行為であるが、マナー違反を注意するのは市民の義務ではない。
電源の切り忘れ等のミスは誰にでもあるし、重要な相手であれば、かかってきた時に要件を済まさずに切るわけにも行かないから、プライバシーを駄々漏れにしている人を生暖かく見守るくらいの事で勘弁するべきで、ゴタゴタに発展させるのは、あまりにも狭量である。
なお、携帯電話の電波でペースメーカーがという主張をするのであれば、そんなに重態ならば、満員電車に乗るなというのが正論である。ペースメーカーの使用も、満員電車にのらなければ暮らしていけないというのも、その人の個人的事情であって、他者の行動を制限できる理由にはなりえない。会社がその人を重要だと思っているのであれば、時差通勤や自動車・バイクでの通勤といった手法を容認する。ペースメーカーを使っているのに満員電車で通勤させているというのは、さっさと死ねと、会社が判断しているということである。